今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省が平成 28 年「パートタイム労働者総合実態調査」の結果を公表
  • パートタイム労働法の改正にどのように対応しているのかを見ると、法改正を機に実施した改善措置がある事業所の割合は 39.4%、実施した措置の内容は「パート相談窓口等を整備し、雇入れ時に労働条件通知書等で明示した」が 44.1%と最高
  • 基本賃金については、「正社員と同様の算定方法に基づいている」が 16.2%、「正社員の算定方法とは異なる」が 58.7%

世界のハローワークからVOL014:ハローワーク足立

厚生労働省が平成 28 年「パートタイム労働者総合実態調査」の結果を公表しました。「パートタイム労働者総合実態調査」は、厚生労働省が、パートタイム労働者の雇用管理の現状、働き方の実態を把握することを目的とする調査で、前回は平成 23 年に実施されました。

近年「同一労働同一賃金」が人口に膾炙するようになり、その実現を目指す改正法案も次の国会に提出される予定です(が、衆議院の解散が先にくるようです。)。パートタイム労働者の労務管理は大きな課題の一つです。そこで、今回は、本調査結果のうち、 改正パートタイム労働法施行を機に実施した改善措置や均衡待遇に関する部分について、みていきましょう。

ところで、平成 27 年 4 月 1 日に施行された改正パートタイム労働法では、①パートタイム労働者の待遇と通常の労働者の待遇の相違が、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないこと、また、②「通常の労働者と同一のパートタイム労働者」の要件を見直し、職務の内容、人材活用の仕組みが通常の労働者と同一の者については、パートタイム労働者であることを理由として、その待遇について差別的取扱いをしてはならないこととされました。

また、パートタイム労働者の納得性を高めるための措置として、①パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設、② パートタイム労働者からの相談に対応するための体制整備の義務の新設についても、新たに追加されました。

これらの改正に対して、一般的にはどのように対応しているのかを見ると、法改正を機に実施した改善措置がある事業所の割合は 39.4%であり、実施した措置の内容(複数回答)は「パート相談窓口等を整備し、雇入れ時に労働条件通知書等で明示した」が 44.1%と最も高く、次いで「パートの賃金等処遇を(正社員との均等・均衡を考慮して)見直した」が 30.7%となっています。

次に、「同一労働同一賃金」に関連して、正社員と職務が同じパートの賃金等の決定方法に関する部分です。

まず、基本賃金(基本給)については、「正社員と同様の算定方法(制度・基準)に基づいている」が 16.2%、「正社員の算定方法(制度・基準)とは異なる」が 58.7%となっています。

また、役職手当を支払っている事業所の割合は 12.0%で、このうち、「正社員と同様の算定方法(制度・基準)に基づいている」が 49.9%、「正社員の算定方法(制度・基準)とは異なる」が 50.1%となっています。役職手当は、職務給・役割給的な賃金ですので、正社員とパートの間で同様の取扱いとなるのが本来ですが、それでも約半数にとどまっているようです。

最後の賞与と退職金についてみると、正社員と職務が同じパートに賞与を支払っている事業所の割合は 43.3%で、「正社員と同様の算定方法(制度・基準)に基づいている」17.1%、退職金ではそれぞれ14.3%、 40.3%でした。パートタイム労働者にも賞与を支払う会社が約4割もあるのは意外でしたが、決定の仕組みにはまだ差があるようです。

このように、正社員とパートタイム労働者との間の均衡待遇への取組は企業間で大きな差があるようですが、今後の法改正や社会状況の変化により、今後大きく変わっていく可能性も否定できません。もとより、良い人材を確保するという観点からすれば、パートだから低い待遇で良いというわけにはいかなくなってきている現状にも留意すべきでしょう。

参考リンク

平成28年パートタイム労働者総合実態調査の概況(厚労省HP)

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