• 経済産業省が「平成28年度 中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」を公表
  • 人材の定着に向けて有効であった取組について 3 割弱の企業が「能力や適性に応じた 昇給・昇進」を、約 2 割の企業が「成果や業務内容に応じた人事評価」を挙げた
  • 直近 3 年の離職者の理由は、中核人材・労働人材ともに「職務への適性不十分」、「賃金への不満」、「仕事内容への不満」の順

経済産業省が「平成28年度 中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」を公表しました。ここでは、人材確保に関する部分についてみてみましょう。

まず、今後 3 年程度の人材確保の必要性について、8 割弱の企業が「少なくとも中核人材・労 働人材のいずれかを確保する必要がある」と回答しています。ここで、中核人材・労働人材とは次のように定義されています。

中核人材

  • 各部門の中枢として、高度な業務・難易度の高い業務を担う人材。
  • 組織の管理・運営の責任者となっている人材。
  • 複数の人員を指揮・管理する人材。
  • 高い専門性や技能レベル、習熟度を有している人材。

労働人材

  • 各部門において、比較的定型的な業務を担う人材。
  • 組織の管理・運営の責任者となっていない人材。
  • 中核人材の指揮・管理のもと、各業務を行う人材 ・中核人材の補助的な業務を行う人材。
  • その他、高い専門性や技能レベル、習熟度を有していない人材。

さて、このどちらについても不足感が強まっているのが現状といえます。では、これらの人材に対する採用活動をどのように考えているのでしょうか。

まず、効果があった採用ルートについて「ハローワーク」を挙げる企業が最も多いという結果でした。なかなかハローワークでは人材が集まらないという声も聞かれますが、引き続きハローワークを利用している企業が多いことが分かります。

次に、採用活動の課題について、中核人材については「求める能力水準の応募者がいない」 が、労働人材については「応募者数の減少」が最も上位にあります。採用活動において期待通りの人数・能力の人材を採用できている企業は約 3 割という結果でした。

人材の定着については、期待通りの人数・能力の人材を採用できている企業のうち、約 9 割の企業は採用した 人材が 3 年以上定着していました。

人材の定着に向けた取組について、4 割強の企業が「能力や適性に応じた昇給・昇進」 を、4 割弱の企業が「成果や業務内容に応じた人事評価」を実施しています。また、人材の定着に向けて有効であった取組について 3 割弱の企業が「能力や適性に応じた 昇給・昇進」を、約 2 割の企業が「成果や業務内容に応じた人事評価」を挙げています。

一方、直近 3 年の離職者の理由は、中核人材・労働人材ともに「職務への適性不十分」、「賃金への不満」、「仕事内容への不満」の順に多く挙げられており、賃金の問題だけではなく、仕事のミスマッチが原因になっているようです。

参考リンク

「平成28年度 中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」(経済産業省HP)

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