厚労省マニュアルを元にした仕事と介護の両立支援のポイント①

今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 今回は、今年3月に公表された「企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル【事業主向け】」から、実態把握の方法と制度設計・見直しについてポイントを紹介
  • 仕事と介護の両立に関する実態は、仕事と育児の両立に比べて表面化しにくい面があるため、実態把握に当たっては工夫が必要
  • 制度設計・見直しを行う際には、自社の両立支援制度が①法定の基準を満たしているか、②自社の制 度の趣旨や内容が、従業員に周知されているか、③自社の制度の利用要件がわかりやすいか、利用手続 きは煩雑でないか、④自社の制度が従業員の支援ニーズに対応しているかなどを確認する必要

今回も前回に引き続き、「企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル【事業主向け】」の内容についてみていきましょう。前回は、最後に企業に求められる従業員の仕事と介護の両立支援への取組として、次の5つのステップを紹介しました。

  1. 従業員の仕事と介護の両立に関する実態把握
  2. 制度設計・見直し
  3. 介護に直面する前の従業員への支援
  4. 介護に直面した従業員への支援
  5. 働き方改革

今回は、これらのうち1.と2.についてみていくことにします。

1.従業員の仕事と介護の両立に関する実態調査

従業員の仕事と介護の両立を支援するためには、まず、自社の従業員の現状や仕事と介護の両立への 不安を確認することが必要です。

仕事と介護の両立に関する実態は、仕事と育児の両立に比べて表面化しにくい面があるため、実態把握に当たっては工夫が必要です。代表的な把握方法としては、次の3つがあります。

(1)全社的なアンケートやヒアリングの 実施

企業が効果的な両立支援を行うためには、まずはアンケートやヒアリングを実施するなどして、従業員の介護の実態や抱えている課題・不安を的確に把握することが重要となります。

把握すべき項目としては、調査対象者の①属性(役職、雇用形態など)、②介護に関する状況(介護 の有無、介護に関する不安など)、③仕事や職場の状況(労働時間、休暇など)があります。

(2)人事面談などを通じた上司による把握

実際に介護に直面した従業員の支援ニーズは、従業員の身近におり、日常的にコミュニケーションを とりやすい上司が把握することが望まれます。たとえば通常の面談などを通じて、また、面談以外でも、 上司は日ごろから「働き方に関して配慮が必要なときには、いつでも相談に応じる」ことを部下に伝え ておき、介護について相談しやすい雰囲気をつくることが重要です。

(3)制度利用者などの介護経験者を対象としたヒ アリング

介護に関する支援ニーズは、介護に直面してから顕在化するものもあります。そう遠くないうちに介護者となる可能性の高い従業員や、実際に介護に直面した従業員からは、より具体的な支援ニーズに関する意見収集が可能となります。ただし、本人が話すことを躊躇する場合も考 えられるため、対象者の選定やヒアリング項目については十分な配慮が必要です。

2.制度設計・見直し

制度設計・見直しを行う際には、自社の両立支援制度が①法定の基準を満たしているか、②自社の制 度の趣旨や内容が、従業員に周知されているか、③自社の制度の利用要件がわかりやすいか、利用手続 きは煩雑でないか、④自社の制度が従業員の支援ニーズに対応しているかなどを確認する必要がありま す。

制度設計・見直しの流れの例は次のとおりです(厚労省マニュアルより)。

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ところで、仕事と介護の両立支援制度の必要に応じた利用を促進するためには、人事担当者自身が両立支 援制度の趣旨を正確に理解し、従業員に適切に伝えることが重要です。

たとえば、育児・介護休業法での「介護休業」は、仕事と介護の両立の準備(社内の両立支援制度の確認、介護認定の申請、介 護施設の見学など)をするための期間としても位置付けられています。「看取り」のために利用し てもよいでしょう。「介護をする」だけではなく、「準備・看取り」のための期間でもあるのですから、 休業期間が長ければ長いほどよいとは言えません。休業期間を延長すると、従業員自身が介護へ 専念してしまい、職場復帰が難しくなることも懸念されます。 介護休業の利用を検討している従業員には、介護休業が「何を目的としたものか」を十分に伝え、 仕事と介護の両立を可能とする体制を整えることに専念してもらいましょう。

次回は、3.介護に直面する前の従業員への支援、4.介護に直面した従業員への支援、5.働き方改革についてみていくことにします。

参考リンク

仕事と介護の両立支援(厚生労働省HP)

MORI社会保険労務士・行政書士事務所(千葉県千葉市)では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろん仕事と介護の両立支援に関するご相談、給与計算(年末調整)、労働・社会保険、就業規則、各種許認可業務等も対応します。

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MORI社労士・行政書士事務所

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