今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 千葉労働局が県内のS株式会社が無許可派遣事業主であることを確認したとして、公表
  • 厚生労働省は、労働者派遣事業の許可を受けることなく労働者派遣事業を行う事業主については、適正な事業運営の確保及び派遣労働者の保護が十分に期待できないことから、事業主名等を公表することとしている

千葉労働局は、県内のS株式会社が無許可派遣事業主であることを確認したとして、公表しました。

厚生労働省は、労働者派遣事業の許可を受けることなく労働者派遣事業を行う事業主については、適正な事業運営の確保及び派遣労働者の保護が十分に期待できないことから、事業主名等を公表することとしており、今回の公表は全国でもはじめてとされています(H29.9.4付け労働新聞)。

同社では、労働者の派遣先となるA社と「業務受委託供給契約」と称する契約を締結し、A社の業務に従事させるため、自ら労働者を募集し、雇用した労働者をA社の指揮命令の下、業務に従事させたとされています。

なお、今回の無許可派遣は、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされる「労働契約申込みなし制度」の適用対象であるとされています(前同)。

「労働契約申込みなし制度」とは、派遣先が次に掲げる違法派遣を受け入れた場合、その時点で、派遣先が派遣労働者に対して、その派遣労働者の派遣元における労働条件と同一の労働条件を内容とする労働契約の申込みをしたものとみなされる制度です(派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときを除きます。)。

  • 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
  • 無許可の事業主から労働者派遣を受け入れた場合
  • 期間制限に違反して労働者派遣を受け入れた場合
  • いわゆる偽装請負の場合

この制度では、派遣先から雇用契約の申込みがあったとみなされるため、派遣労働者がこれに同意すれば、派遣先と派遣労働者の間に雇用契約が成立することになります。

こうしたことがないよう、労働者派遣契約と業務委託契約(請負・委任等)の違いに十分留意して、適切な労務管理が求められます。

参考リンク

無許可で労働者派遣事業を行った事業主の公表(千葉労働局HP)

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