内定時にも労働条件の明示が必要


今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚労省が採用内定時の労働条件明示に関する留意点をまとめたリーフレットを作成
  • 採用内定によって労働契約が成立する場合には、採用内定に際して労働条件を明示しなければならないことなどが示されている
  • 採用内定の際に、具体的な就業場所や従事すべき業務等を特定できない場合には、就労の開始時の就業の場所や従事すべき業務として想定される内容を包括的に示すこととしても差し支えないとしている

世界の労働基準監督署からVOL012:亀戸労働基準監督署

厚労省が採用内定時の労働条件明示に関する留意点をまとめたリーフレットを作成しました。労働基準法第15条、同法施行規則第5条では、使用者は労働契約締結に際して労働条件を明示しなければならないとされていますが、採用内定により労働契約が成立しているとみられる場合に、労働条件の明示がなされていない事例が見られたためと思われます。

以下では、リーフレットを元に、その内容を見ていくことにしましょう。

採用内定時に実施しなければならない措置は、① 採用内定によって労働契約が成立する場合には、採用内定に際して労働条件を明示しなければならないこと、② 採用内定の際に、具体的な就業場所や従事すべき業務等を特定できない場合には、就労の開始時の就業の場所や従事すべき業務として想定される内容を包括的に示すこととしても差し支えないこと、の2点です。

特に注目なのは②の内容です。これまでは、新卒採用では、内定自店では配属、業務内容などが決まっていないために労働条件通知書を交付しなかった企業も多かったと思われますが、今後はこの内容にそって対応が必要となります。

ところで、採用内定によって労働契約が成立する場合とは、どのようなケースを指しているのでしょうか。この点について、リーフレットでは2つの裁判例と2つの事例が紹介されています。

まず、採用内定により「労働契約」が成立していると解された判例としては、①「被上告人の就労の始期を昭和44年大学卒業直後とし、それまでの間、本件誓約書記載の五項目の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立したと解する」とされた例(S54.7.20最二小判)、②「いわゆる採用内定の一態様として、労働契約の効力発生の始期を右採用通知に明示された昭和45年4月1日(入社日)とする労働契約が成立したと解するのが相当である」とされた例(S55.5.30最二小判)があります。

また、労働契約が成立していると認められた事例として、「企業Aから採用内定通知を受けたXは、①他の企業の求人に対する応募を辞退し、企業Aの求めに応じて、②入社誓約書を提出し、③近況報告を行った。また、企業Aでは同採用内定通知のほかに労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかった。このことから、同採用内定通知により両者の間に労働契約が成立したものと判断された」ものが挙げられています。

一方、成立していないと認められた事例として、「Yは企業Bから採用内定通知を受けたが、①企業BはYの入社に向けた手続きは行わず、Yも、②入社の誓約をせず、③受け取った採用内定が正式なものではなく、企業Bから入社を翻意される可能性があることを認識していた。このことから、企業Bは、Yに対して確定的な採用の意思表示をしたとはいえず、同採用内定通知によって労働契約は成立していないと判断されたもの」が挙げられています。

内定と就労開始日を長くすればするほどリスクがある状態となります。会社としては、上記のようなポイントに留意して、適切な時期に労働契約が成立するように対応するなど、業務内容を整理すると良いでしょう。

参考リンク

採用内定時に労働契約が成立する場合の労働条件明示について(京都労働局HP)

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