今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚労省内で設置されている「柔軟な働き方に関する検討会」で提出された「副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)」が公表
  • 厚生労働省で示しているモデル就業規則の規定を、労務提供や会社の信用・評価に支障が生じる場合等以外は副業・兼業を認める方向で改めるとしている

厚労省内で設置されている「柔軟な働き方に関する検討会」で提出された「副業・兼業の推進に関するガイドライン骨子(案)」が公表されました。

厚労省は、「自身の能力を一企業にとらわれずに幅広く発揮したいという希望を持つ労働者が、副業・兼業を行える環境を整備することが重要であるとする一方で、長時間労働を招かないよう次の対応を行う見込みです。

  1. 厚生労働省で示しているモデル就業規則の規定を、労務提供や会社の信用・評価に支障が生じる場合等以外は副業・兼業を認める方向で改めること
  2. 労働者と企業それぞれの留意点とその対応方法を示すこと
  3. 労働者が副業・兼業を実現している好事例を共有していくこと

ところで、今回のガイドライン(案)では、労働基準法38条の解釈について、厚労省が従来の立場を維持していることも明らかになりました。

すなわち、労働基準法第 38 条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定されており、行政通達により「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む。(S 23.5.14 基発第 769)とされています。つまり、副業・兼業が労働契約によるものであれば、会社が別でも、労働時間を通算しなければならないとされているのです。

ガイドライン(案)では、「労働者からの自己申告・・・により副業・兼業先での労働時間を把握することが考えられる」としていますが、その実効性については疑問です。企業にとっては、むしろ知りたくない情報だからです。

ガイドライン(案)が掲げるメリットも、

  1. 労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得することができる
  2. 優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する
  3. 労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大に
    つながる

などをあげていますが、どれも副次的なものにすぎないでしょう。

このガイドラインを機に兼業・副業を認める企業は、少ないのではないでしょうか。

参考リンク

第4回柔軟な働き方に関する検討会(厚労省HP)

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