今回の記事、ざっくり言うと

  • 労働政策審議会担当部会が労働者災害補償保険法施行規則の改正案要綱について妥当であるとの答申
  • 今回の改正が施行されれば、通勤災害保護制度の対象となる介護の対象家族の範囲について「同居、かつ、扶養」の要件を撤廃される
  • 勤務間インターバルの導入促進のため、中小企業事業主に対して導入経費の一部を助成する制度が創設される

厚生労働大臣が労働政策審議会に対して、労働者災害補償保険法施行規則の改正案要綱について諮問を行い、担当部会で審議が行われ、同審議会から妥当であるとの答申がありました。そこで、今回は、今回の奨励改正案についてみていきましょう。

今回の改正は、次の2点です。

  1. 通勤災害保護制度の対象となる介護の対象家族の範囲について「同居、かつ、扶養」の要件を撤廃します
  2. 勤務間インターバルの導入促進のため、中小企業事業主に対して導入経費の一部を助成する制度を創設します。

まず、1についてです。

労災保険法では、労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡については、通勤災害として保険給付の対象と していますが、労働者が移動の経路を逸脱・中断した場合においては、当該逸脱・中断の間および合理的な経路に復帰 後の移動は原則として通勤には含まれないとされています。

しかし、さらに例外として、逸脱・中断が「日常生活上必要な行為」に該当する場合には、 合理的な経路に復帰後の移動は通勤に含まれる(その場合であっても、逸脱・中断の間は通勤に含まれない。)とされています。

そして、労災保険法施行規則では、「日常生活上必要な行為」について、一定の家族の介護を認めており、当該家族は育児・介護休業法の対象家族と同じ範囲で規定しています。

今回の改正は、育児・介護休業法の対象家族が拡大されたことを踏まえ、「日常生活上必要な行為」に該当する介護の対象家族の範囲も同様に措置するものです。

具体的には、これまで、対象家族とは、「要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母ならびに同居し、 かつ、扶養している孫、祖父母および兄弟姉妹の介護」とされていた点が、「要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹ならびに配偶者の父母の介護」とされました。

次に、勤務間インターバルの導入促進の制度です。

平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」において、勤務間インターバルの自発的導入を促進するため、 専門的な知識やノウハウを活用した助言・指導、こうした制度を積極的に導入しようとする企業に対する新たな支援策を展開す ることとされたことなどを踏まえ、勤務間インターバルに係る導入事例集の作成や各種広報等により幅広く周知を図るとともに、 勤務間インターバルの導入に係る経費の一部を支給する助成金制度を創設するとされました。

参考リンク

~ 通勤災害の適用範囲を拡充するとともに、 “勤務間インターバル”導入に関する助成金制度を創設します ~(厚生労働省HP)

MORI社会保険労務士・行政書士事務所(千葉県千葉市)では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろん勤務インタ制度導入に関するご相談、給与計算、労働・社会保険、就業規則、各種許認可業務等も対応します。

toiawase