• 厚生労働省内に設置されている労働政策審議会で、働き方改革推進法により改正される新三六協定届の案が示された
  • 協定届案は、特別条項の有無によって2パターンが示されており、この案の通りとなった場合には、適当な方を選択して作成・届出が必要

世界の労働基準監督署からVOL001:茂原労働基準監督署

厚生労働省内に設置されている労働政策審議会で、働き方改革推進法により改正される新三六協定届の案が示されました。

協定届案は、特別条項の有無によって2パターンが示されており、この案の通りとなった場合には、適当な方を選択して作成・届出が必要です。特別条項のない協定についても現行のものと記載内容が一部変更されています。

目立つところでは、休日労働の欄の下に「上記で定める時間数にかかわらず、時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1 箇月について 100 時間未満でなければならず、かつ2箇月から6箇月までを平均して 80 時間を超過しないこと。」という文言とチェックボックスが設けられたところです。裏面の「記載心得」によれば、「チェックボックスは労働基準法第 36 条第6項第2号及び第3号の要件を遵守する趣旨のものであり、『2箇月から6箇月まで』とは、起算日をまたぐケースも含め、連続した2箇月から6箇月までの期間を指すことに留意すること。また、チェックボックスにチェックが無い場合には有効な協定とはならないことに留意すること。」とされています。

「特別条項ありの協定届」は、これまでは協定届内の空白部分に特別条項に関する規定を記載していましたが、今回の改定で特別条項の内容を記載するための様式が新たに作成されました。したがって、特別条項付き三六協定を届け出る場合は、2枚1組で行うことになりそうです。なお、押印については、特別条項のページのみにあります。これを見る限りでは、記名・押印等は特別条項の協定届の方に行って提出するようになると見られます。

また、今回の法改正により、あらたに特別条項を締結する場合には、「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」を行うことが義務付けられましたので、次のいずれかのなかから選択して記入することになります。

  1. 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
  2. 労働基準法第 37 条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること。
  3. 労働時間を延長して労働させる者についてその終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。
  4. 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
  5. 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
  6. 年次有給休暇についてまとまつた日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。
  7. 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること
  8. 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。
  9. 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること
  10. その他

同時に公開されている時間外労働指針案では、「次に掲げるもののうちから協定することが望ましい」として、上記1~9が示されているため、「10その他」を選択することは、例外的となりそうです。詳細は、行政通達などを参照しなければわかりませんが、小規模事業者の場合は、負担感を考慮して8を選択するケースが多いのではないかと考えられます。長時間労働による健康障害のリスクをふまえて、自社に適した施策を検討するようにしてください。

参考リンク

第145回労働政策審議会労働条件分科会(厚生労働省HP)

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