新業務取扱要領で見る労働者派遣事業の許可基準

今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 改正労働者派遣法を反映した業務取扱要領が公表されている
  • 従前と大きく異なる「キャリア形成支援制度」については、入職時の教育訓練は必須であることなどの詳細が業務取扱要領に規定されている

改正労働者派遣法に基づく新許可基準の概要

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改正労働者派遣法が施行されて、そろそろ3週間が経過しました。業務取扱要領も改定され、許可・更新マニュアルについても現在編集作業がすすめられているようです。

そこで、今回は、新法下で改正された労働者派遣事業の許可基準について、業務取扱要領の内容もふまえながらみていくことにしましょう。

まず、新許可基準をざっと挙げましょう。下線部が今回加えられた基準となります。

  1. 専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるものでないこと
  2. 派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして次に掲げる基準に 適合するものであること
    •  派遣労働者のキャリア形成支援制度を有すること
    • 教育訓練等の情報を管理した資料を労働契約終了後3年間は保存していること
    • 無期雇用派遣労働者を労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規定がない こと。また、有期雇用派遣労働者についても、労働者派遣契約の終了時に労働契約が存続し ている派遣労働者については、労働者派遣契約の終了のみを理由として解雇できる旨の規 定がないこと
    • 労働契約期間内に労働者派遣契約が終了した派遣労働者について、次の派遣先を見つけら れない等、使用者の責に帰すべき事由により休業させた場合には、労働基準法第 26 条に 基づく手当を支払う旨の規定があること
    • 派遣労働者に対して、労働安全衛生法第 59 条に基づき実施が義務付けられている安全衛 生教育の実施体制を整備していること
    • 雇用安定措置の義務を免れることを目的とした行為を行っており、都道府県労働局から指 導され、それを是正していない者ではないこと
  3. 個人情報を適正に管理し、派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること
  4. 事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること ・ 資産の総額から負債の総額を控除した額(基準資産額)が「2,000 万円×事業所数」 以上、現預金額が「1,500 万円×事業所数」以上であること

なお、4に関連して、中小規模事業所について、次のような許可基準の緩和措置があります。

  • 常時雇用している派遣労働者が 10 人以下である中小企業事業主 →当分の間、基準資産額:1,000 万円、現預金額:800 万円
  • 常時雇用している派遣労働者が5人以下である中小企業事業主 →平成 30 年9月 29 日までの間、基準資産額:500 万円、現預金額:400 万円

キャリア形成支援制度について

上記のうち、最も基準を満たしているかどうかの判定が難しいのが、「派遣労働者のキャリア形成支援制度を有すること」にかかるものです。

業務取扱要領では、派遣元事業主は、次の事項を満たす制度を有していなければならないとしています。

  1. 派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いた段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を定め ていること
  2. キャリア・コンサルティングの相談窓口を設置していること。
  3. キャリア形成を念頭に置いた派遣先の提供を行う手続が規定されていること。
  4. 一定の教育訓練の時期・頻度・時間数等
  5. 教育訓練計画の周知等

1については、特に重要なのは、①実施する教育訓練がその雇用する全ての派遣労働者を対象としたものであること、②実施する教育訓練が有給かつ無償で行われるものであること、③実施する教育訓練が派遣労働者のキャリアアップに資する内容のものであること、④派遣労働者として雇用するにあたり実施する教育訓練が含まれたものであること、および⑤無期雇用派遣労働者に対して実施する教育訓練は、長期的なキャリア形成を念頭に置い た内容のものであること、です。

次に、2については、担当者として必ずしもキャリア・コンサルタントの有資格者を配置しなければならないものではありません。業務取扱要領では、次のような者とされています。

  • キャリア・コンサルタント(有資格者)
  • キャリア・コンサルティ ングの知見を有する者(職業能力開発推進者、3年以上の人事担当の職務経験がある者 等)
  • 派遣先との連絡調整を行う営業担当者

4については、派遣労働者全員に対して入職時の教育訓練は必須であることがまず定められています。

続いて、少 なくとも最初の3年間は毎年1回以上の機会の提供が必要であり、その後も、キャリアの 節目などの一定の期間ごとにキャリアパスに応じた研修等が用意されていること、さらに実施時間数については、フルタイムで1年以上の雇用見込みの派遣労働者一人当た り、少なくとも最初の3年間は、毎年概ね8時間以上の教育訓練の機会の提供が必要であ るとされています。

したがって、入職後3年間は毎年なんらかの教育訓練を行わなければならないことになります。ただし、時間についてはおおむね8時間であり、Off-JTだけでなく、OJTでも差し支えないとされています。

最後に5については、周知の方法については特段業務取扱要領で指定された方法はありません。記録の保存について、労働契約終了後3年間保存しなければならないことが定められています。

このほか、業務取扱要領では、「~が望ましい」とか「~するよう努めること」といった記載が散見されます。これらの実際上の取扱いは現時点では不明です。あるいは地域によっても取扱いが異なることも考えられますので、申請の都度、提出する労働局の担当部局へ確認するとよいでしょう。

関連リンク

労働者派遣事業関係業務取扱要領(厚生労働省HP)

 

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