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東京都では、パートタイマーに関し、その働き方の実態と労使双方の意識を把握するための調査を実施しており、その平成25年度の結果が公表されました。本調査は、業所調査については、都内の常用従業者規模30人以上の3,000事業所(有効回収率33.1%)、 従業員調査については、事業所調査の結果から協力を得られた事業所の従業員2,000人(有効回収率37.3%)です。

本調査結果の概要は、次のとおりです。

  • 事業所がパートタイマーを雇用している理由は、「賃金コストが安くてすむから」が45.5%と最も多い。
  • 従業員がパートタイマーとなった理由は、「自分の都合のよい日や時間に働きたいから」が46.8%と最も多い。
  • 「有期労働契約の無期転換ルール」を知っていた事業所は81.9%、従業員は29.6%であり、事業所と従業員の認知度には大きな差がある。
  • 小学生の子どもがいるパートタイマーは、所定労働時間・残業時間が短く、年収額も低い

さて、上記の中で、特に目を引くのが、「有期労働契約の無期転換ルール」の結果です。

「有期労働契約の無期転換ルール」とは、平成 25 年4月1日以後に開始又は更新した有期労働契約の通算契約期 間が5年を超える場合に、労働者から申込みがあれば無期労働契約に転換するルールのことです(労働契約法 18 条)。

「有期労働契約の無期転換ルール」は、労働者の「申込」が要件になっていますので、その従業員の認知度について、これまでこのくらいの規模の調査は、私の知る限り行われていませんでした。そのため、本調査の従業員の結果は意義があります。

そして、本調査によれば、従業員の認知度は約3割程度という結果でした。したがって、本制度はそれほど浸透していないのが現状といえるでしょう(これでも、私は高いと思いましたが)。ただし、本調査が行われたのが昨年10月、つまり「有期労働契約の無期転換ルール」は施行されて半年の時点でしたので、今後本制度の認知度は上がっていくとも考えられます。

また、「有期労働契約の無期転換ルール」の従業 員の利用意向は、「わからない」が 45.4% と最も多かったですが、 「利用したい」が 34.0%、 「条件によっては利用したい」が 8.4%と なっており、利用希望も4割を超えています。

一部では「2018年問題」(施行された2013年から5年後)と呼ばれており、行政もそれに向けてアナウンスを強化していく可能性もありますので(理屈上、現時点でも発生させることもできるのですが)、労働契約書に上限条項を盛り込むこと、無期パートが新職種となるのであれば規程の整備することなど準備が必要となることも考えると、なるべく早い段階で方針を決めるたいものです。

■関連リンク

平成25年度 中小企業労働条件等実態調査 「パートタイマーに関する実態調査」結果がまとまりました(東京都HP)