image096現在見直しが検討されている専門業務型・企画業務型裁量労働制の検討に先立って、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JIL)が事業場・労働者それぞれについて調査を実施し、その結果を公表しました。

そこで、まず初めに両裁量労働制について簡単に説明しましょう。

専門業務型裁量労働制とは、デザイナーやシステムエンジニアなど、業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない19の業務について、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使協定で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度をいいます。

また、企画業務型裁量労働制は、事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務であって、業務遂行の手段や時間配分などに関して使用者が具体的な指示をしない業務について、実際の労働時間数とはかかわりなく、労使委員会で定めた労働時間数を働いたものとみなす制度です。

ところで、2つの裁量労働制のうち、企画業務型裁量労働制については、労使委員会の設置・運営が導入の要件とされていることや対象業務の狭さから導入が進んでいないという実情があります。そこで、ここでは、”専門業務型”裁量労働制に絞って、本調査結果を実務に活かせる点を紹介します。

専門業務型裁量労働制を導入にあたっては、原則として次の事項を労使協定により定めた上で、所定の様式により、所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

  1. 制度の対象とする業務
  2. 対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしないこと
  3. 労働時間としてみなす時間
  4. 対象となる労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉を確保するための措置の具体的内容
  5. 対象となる労働者からの苦情の処理のため実施する措置の具体的内容
  6. 協定の有効期間(※3年以内とすることが望ましい。)
  7. (4)及び(5)に関し労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間及びその期間満了後3年間保存すること

このうち、本調査で最も導入に負担感があるものとされたのが、「3.労働時間としてみなす時間」でした(49.0%)。

では、すでに裁量労働制を導入している事業場では、どのようにして 「みなし労働時間」を設定しているのでしょうか。本調査によれば、「通常の所定労働時間」とするのが47.6%、「今までの実績から算出」とするのが33.5%となっています。これは私の実感にも合致するところで、要するに、所定労働時間を基本としつつ、実態とあまり乖離しないことに注意することになるでしょう。

このように、本調査では、裁量労働制について詳しい調査が行われています。そのため、すでに導入している企業にとっても、これから導入する企業にとっても参考になると思われます。

 

■関連リンク

裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果・事業場調査結果(JILHP)

裁量労働制等の労働時間制度に関する調査結果・労働者調査結果(JILHP)

 

 

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