今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省が平成28年度「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業」の報告書を公表
  • 『裁量をもって仕事を進めることができる』、『仕事に誇りややりがいを感じる』または『適当な仕事量である』職場環境を構築することは、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆された

厚生労働省が平成28年度「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業」の報告書を公表しました。

今回の報告書は、自動車運転従事者、外食産業、法人役員、自営業者についてアンケート調査を実施し、あわせて平成27年度の委託事業で実施した労働者に対するアンケート調査について、再集計・分析が行われたものです。

1.平成27年度調査結果の再集計・分析

これは、平成27年度の調査結果に最小二乗法による重回帰分析をおこなったものです。

ここで注目したいのは、『裁量をもって仕事を進めることができる』、『仕事に誇りややりがいを感じる』または『適当な仕事量である』職場環境を構築することは、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆された一方で、『最長の週の残業時間が30時間以上であること』、『ハラスメントがある職場』は、「メンタルヘルスの状態の悪化」を招く傾向にある点です。特にハラスメントについては、『自分以外がハラスメントを受けている』も含まれていることには注意が必要です。

 企業・労働者調査

まず、自動車運転従事者(バス、タクシー、トラック)に係る調査結果についてみてみましょう。

企業調査、労働者調査ともに所定外労働が発生する主な理由はほぼ同じで、「バス」では「仕事の特性上、所定外でないとできない仕事があるため」、「人員が足りないため」が多く、「タクシー」では「人員が足りないため」、「予定外の仕事が突発的に発生するため」が多く、「トラック」では「取引先の都合で手待ち時間が発生するため」、「仕事の特性上、所定外でないとできない仕事があるため」が多い結果となりました。

また、労働者調査において、業務関連のストレスや悩みの内容をみると、「バス運転者」では「長時間労働の多さ」、「タクシー運転者」では「売上・業績等」、「トラック運転者」では「仕事での精神的な緊張・ストレス」がそれぞれ最多となりました。

次に外食産業に係る調査結果では、企業調査、労働者調査ともに所定外労働が発生する主な理由はほぼ同じで、「スーパーバイザー等」では「人員が足りないため」、「予定外の仕事が突発的に発生するため」が多く、「店長」では「人員が足りないため」、「欠勤した他の従業員の埋め合わせが必要なため」が多く、「店舗従業員」では「人員が足りないため」、「業務の繁閑の差が激しいため」が多い結果となりました。

また、労働者調査において、業務関連のストレスや悩みの内容をみると、「スーパーバイザー等」と「店長」では、「売上げ・業績等」、「店舗従業員」では、「仕事での精神的な緊張・ストレス」がそれぞれ最でした。

これらを見ると、いわゆる残業が発生する理由として、人手不足がほとんどの業種で挙げられていることに気づきます。今回の調査はどれも労働集約型の色合いの濃い業種であり、今後このような仕事の効率化や生産性の向上は大きな過大になると考えられます。

参考リンク

平成28年度「過労死等に関する実態把握のための労働・社会面の調査研究事業報告書」を公表します(厚労省HP)

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