• JILPTが「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)」の結果を公表
  • 限定正社員制度を導入した企業では、「人材の定着率が高まった」が54.7%に上りもっとも割合が高かった

労働政策研修・研究機構(JILPT)が「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)」の結果を公表しました。本調査は、「多様な人材一人ひとりの能力が発揮され、いきいきと働き続けられる職場環境の構築に向けた人材マネジメントに関する諸課題を明らかにすることを目的とし」たものです。

限定正社員を導入することを迷っている企業では、実際どのようなメリットがあるのか計りかねていることも多いのではないでしょうか。本調査では、過去5年間における限定正社員という働き方を導入したことによる効果について、調査しています。

調査した各項目での肯定的割合(「そう思う」「ややそう思う」の合計)は、「人材の定着率が高まった」が54.7%に上りもっとも割合が高く、次いで、「社員のワーク・ライフ・バランスが向上した」が49.7%、「人材の採用がしやすくなった」が48.9%と続いています。

このように、限定正社員に関しては、人材の確保に効果があると認識している企業が多いことが分かります。一般的に限定正社員は、残業・転勤・職種変更のある無限定の正社員では就労することが難しい就労に制約のある労働者の受け皿として注目された経緯があるため、その割に低いと思われるかもしれんが、それでも半数程度が効果として実感しているという結果は、見るべきものがあります。

もっとも、限定正社員を導入する場合、仕事の割り振り方や不在時の対応など働く環境の整備も同時に求められます。

また、実際に「限定正社員」として就労している労働者に対する調査では、就労状況・処遇・昇進について不満と感じている内容が取り上げられていました。これは、限定正社員制度が上手くいくためのヒントになります。

不満が「ある」とする者の中で、具体的な事柄として上げられたのは、「不合理な賃金差がある」が56.6%でもっとも多く、次いで、「共有がしっかりとなされない情報が多い」が36.8%でした。

限定正社員の処遇を正社員と比較してどうするのかは、限定正社員制度を検討する上で最も悩ましい問題の一つです。多くの企業では、多数の正社員が限定正社員に流れるのを抑制することもふまえて処遇を決定することが多いため、労働者が不満に感じるのも無理もないところなのかもしれません。一方、「共有がしっかりとなされない情報が多い」という点は、限定正社員制度を定着させるうえで、見直しが必要な部分といえるでしょう。

参考リンク

調査シリーズNo.184多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査(企業調査・労働者調査)(JILPTのHP)

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