image115「日本再興戦略」のロードマップにおいて「健診受診率の向上」が目標として掲げられたことから、昨年、全国労働衛生週間準備期間に併せ、9 月を「職場の健康診断実施強化月間」(以下「強化月間」という。)と位置づけ、集中的・重点的な指導が行われました。

そして、今年度も、今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂 2014 において同様の目標として掲げられたことを踏まえ、労働安全衛生法に基づく事業者による健康診断及び事後措置を改めて徹底するため、労働衛生週間準備期間である9月を強化月間と位置づけ、集中的・重点的な指導を行うとされました。

強化月間の取組について、下記のように通達(平成26年8月7日基安発0807第 1 号)されています。ので、その内容についてみてみましょう。

1 事業場に対する集団指導、個別指導等について

(1)対象事業場

指導の対象事業場は次のようになっています。「集団指導」とは、一般に労基署等で事業主を集めて開催される各種説明会などです。「個別指導」とは、たとえば臨検の機会に健康診断の実施状況について、指導が行われることが考えられます。

  • 強化月間中に実施を予定している安全衛生関係に係る全ての集団指導の対象事業場
  • 強化月間中に実施を予定している全ての個別指導の対象事業場

(2)指導等の重点事項

指導等に当たっては、以下の事項を重点的に行うこととされています(カッコ書きは実施上の留意点とされていることです)。

  • 健康診断の実施、有所見者の健康保持に関する医師からの意見聴取及び健康診断実施後の措置の徹底(→各事業場における健康診断及び事後措置等の実施状況を確認し、必要な指導を行うこと。)
  • 一般健康診断結果に基づく必要な労働者に対する医師又は保健師による保健指導の実施(→同上)
  • 高齢者医療確保法に基づく医療保険者が行う特定健診・保健指導との連携(→高齢者医療確保法に基づく特定健康診査に関する記録の提供の義務について周知に努めること。)
  • 小規模事業場における地域産業保健センターの活用(→小規模事業場への指導等の際は、必要に応じて、地域産業保健センターの活用の勧奨等も行うこと。)

なお、「地域産業保健センター」では、産業医の選任義務のない小規模事業場を対象として、健康診断結果に基づく医師からの意見聴取、脳・心臓疾患のリスクが高い労働者に対する保健指導等の支援を行っています。

このほかにも、様々な機会を活用し、健康診断及び事後措置の実施に係る周知や指導等を行うこととされています。

健康診断の実施状況は、通常の労基署の臨検でも指導対象となりやすい項目の一つです。「ブラック企業」が社会問題となる中、政府も社員の健康問題に重点を置いていることがうかがえる動きですが、それ以前に社員のパフォーマンスを上げる意味でも、社員の健康は気を付けるべきことです。こういった動きをきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

■関連リンク

「職場の健康診断実施強化月間」の実施について(厚生労働省HP、PDF)

 

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