今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 今年4月から、過重労働による健康被害の防止などを強化するため、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う「過重労働撲滅特別対策班(通称「かとく」)が東京労働局と大阪労働局の2カ所に設置された。
  • 先日「かとく」による初の送検事例が発生し、報道でもとりあげられた

DSC_0024先日、某靴小売店が従業員に違法な時間外労働をさせたとして労働基準法違反の疑いで労務担当取締役と店舗責任者が送検されたニュースが報道されました。

普段であればそれほど大きく取り上げられる事例ではないのですが、今回は通称「かとく」と呼ばれる組織による初めての送検事例として、ネットニュースなどでも見出しがトップページに載るなど、反響があったようです(宣伝効果も期待して、あえて有名企業を選んだのではないかと勘ぐってしまいますね)。

そこで、今日は、この「かとく」がどのような組織なのかについて述べたいと思います。

「かとく」とは、正式には「過重労働撲滅特別対策班」といい、過重労働による健康被害の防止などを強化するため、違法な長時間労働を行う事業所に対して監督指導を行う特別チームで、今年4月に東京労働局と大阪労働局の2カ所に設置されました。厚生労働省では「長時間労働削減推進本部」を設置し、監督指導や働き方の見直しに向け、企業などに対して働きかけてきたところですが、さらにこの取り組みを推進するための組織と位置づけられています。

同班には、東京に7名、大阪に6名の労働基準監督官が配属されています。厚生労働省は、違法な長時間労働を強いる企業のなかには、パソコンに保存された労働時間のデータを改ざんするなど悪質なケースも多いとして、これに対応するための高度な捜査技術が必要となってくるため、専門機器を用いてデータの解析を行い、過重労働が認められる企業などに監督指導や検査を行っていくとしています。

現在は2労働局だけのチームですが、今後主要都市への拡大も考えられるところですし、「かとく」のノウハウが各監督署レベルでも共有されれば、今後、臨検時の調査もより厳格化することも考えられますので、自社の労働時間管理の契機にしてはいかがでしょうか。

■関連リンク

「過重労働の撲滅に全力で取り組み、働く方が安心して活躍できるように成果をあげてほしい」。過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」発足式で訓示する塩崎厚生労働大臣。(厚生労働省HP)

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