今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」が報告書を取りまとめた。本報告書は今後の育児介護休業法の改正の動向を伺う資料となる
  • 介護休業については、分割取得、要介護状態の緩和などが検討すべき事項として挙げられている。
  • 介護休暇については、日数延長や取得単位の柔軟化などが検討すべき項目として挙げられている。

image091厚生労働省が、「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」において検討が行われてきた仕事と家庭の両立支援のための今後の施策のあり方等について、報告書が取りまとめられ、公表しました。

同報告書は、次の育児介護休業法の改正の動向を伺うのに最適の資料です。今回は、その中で「介護休業」と「介護休暇」に関する部分について見ていきましょう。

報告書では、介護休業の「今後の対応法の方向性」として、概要、次のように述べられています。

  • 育児・介護休業法における要介護状態が継続した場合であっても、介護休業の分割取得を認めることを検討すべきであること
  • 介護休業の分割回数の上限については、労働者にとっての柔軟な働き方 の権利の確保と事業主にとっての負担との兼ね合いを考慮して、その回数を検討するべきであること
  • 休業期間については分割取得が可能となった場合には、現行のまま通算し て 93 日間とすることが考えられること
  • 介護休業を取得できる要介護状態の判断基準については、介助の在り方等を踏まえ緩和する方向で 見直しを行うべきであること
  • る同居していない兄弟姉妹や祖父 母も対象にすることも検討すべきであること

また、介護休暇については、次のとおりです。

  • 日数の延長や取得単位について、検討を進めるべきであること
  • ①時間単位や、②半日単位での取得を検討すべきであること
  • 就業時間中に中抜けを認めている事業所において、継 続就業率が高い傾向がみられたこと等を踏まえつつ、柔軟な取得が可能となるよう検討すべきであること

このように、介護休業・介護休暇について、要件緩和や柔軟化など制度の拡充が方向性として打ち出されています。これは、近年、「介護離職」とよばれる、介護を理由とする退職者がにわかに増加しつつあることをふまえて、これに対する政策的手当の必要性が意識されるようになったためと思われます。報告書においても、「労働者が一人で介護を抱えると、結果として離職につながるケースが多い。このため、・・・、継続就業することができるようにすることが重要であ り、このために必要な制度的対応は何か、という観点が重要である」ということが言及されています。

報告書では、このほかにも「多様な家族形態・雇用形態に対応した、育児期の柔軟な働き方の実現」として、育児休業の対象となる子の範囲の見直しや有期規約労働者の育児休業の取得要件、「男性の子育てへの関わりを可能とするための環境整備」などが取り上げられています。

■関連リンク

今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会報告書

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