今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 今回は、債権法改正の中で「請負」の報酬に関係する部分について取り上げる
  • 法改正により、これまで裁判例により示されていた中途で契約が解除されるなどした場合のルールが条文化された

前回債権法改正について取り上げましたが、せっかくですので、引き続き債権法改正内容について見ていきましょう。今回は、「請負」にの報酬に関係する部分です。

請負とは、請負人が仕事を完成することを約し、注文者が完成した仕事の結果に報酬を支払うことを約する契約をいいます。たとえば、家を建てることを建設業者に依頼するような場合です(家屋の完成を目的とした契約)。

ところで、請負の報酬は、完成した仕事の結果に支払われるものとされ、中途で契約が解除されるなどした場合のルールは設けられていませんでした。そのため、このような場合については、判例により、注文者が利益を得られる場合には、利益の割合に応じた報酬の請求は可能と判断されていました。

そこで、今回の改正では、中途の結果について報酬が請求され、紛争に発展するケースは、実際にも少なくないことから、明確なルールが定められることになりました。すなわち、次のいずれかの場合において、中途の結果のうち可分な部分によって注文者が利益を受けるときは、請負人は、その利益の割合に応じて報酬の請求をすることが可能であることとされました(改正民法634条)。なお、仕事を完成することができなかったことについて注文者に帰責事由がある場合には、報酬の全額を請求することが可能とされています(改正民法536条)

  • 仕事を完成することができなくなった場合
  • 請負が仕事の完成前に解除された場合

このように、今回の債権法改正では、判例で確立したルールを条文したものがあります。これは、「民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化する」というものの一環といえます。

参考リンク

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について(法務省HP)

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