image087厚生労働省が「平成25年度個別労働紛争解決制度」の施行状況をまとめ、公表しました。

 「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルの未然防止や早期解決を支援するもので、「総合労働相談」、労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。

平成25年度は、前年度に比べて、総合労働相談、助言・指導、あっせんのいずれも件数が減少しましたが、総合労働相談の件数は6年連続で100万件を超え、高止まりしているとされています。 また、総合労働相談のうち、民事上の個別労働紛争の相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が59,197件と、2年連続で最多となりました。

以下では、平成平成25年度の相談、助言・指導、あっせんの概況についてみてみましょう。

  •  総合労働相談件数・・・ 1,050,042 件 (前年度比 1.6% 減 )→ うち民事上の 個別労働紛争相談件数は245,783 件 (同3.5% 減 )
  •  助言・指導申出件数・・・10,024 件 (同 3.3% 減 )
  •  あっせん申請件数・・・5,712 件 (同 5.5% 減 )
  • 総合労働相談件数をはじめ、いずれも件数が減少
  •  総合労働相談件数、助言・指導申出件数、あっせん申請件数のいずれも減少
  • 総合労働相談件数は6年連続で100万件 を超えるなど、高止まり
  • 民事上の個別労働紛争の相談内容は 「いじめ・嫌がらせ 」 が2年連続トップで増加傾向
  • 「 いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は 59,197 件(前年51,670件)、助言・指導の申出では2,046件(前年1,735件)、あっせんの申請では1,474件(前年1,297件)といずれも増加
  • 助言・指導、あっせんともに迅速な処理
  • 助言・指導は1カ月以内に96.4% 、 あっせんは2カ月以内に92.0%を処理。

このように、先日紹介した東京労働局管内の労基署への申告件数が減少したのと同様に、労働局への総合労働相談等の件数も減少しました。これは、景気の回復によって、「解雇」や「労働条件の引き下げ」などの10年前まで非常に多かった相談件数が、ここ数年大きく減少していることが原因の一つと考えられます。

特に「解雇」に関する相談は、10年前までは全体の3割弱に上っていましたが、平成25年度においては、全体の15%程度となっています。これを景気の回復のためとみるか、解雇のリスクを事業主が理解したため別の退職手法がとられているとみるかは、人によって意見が異なると思います(「退職勧奨」の相談割合は微増しています)。

一方でいわゆるパワハラに属する相談件数は10倍弱に跳ね上がっており、主要な労務トラブルがシフトしていることがうかがわれます。 

■参考リンク「平成25年度個別労働紛争解決制度施行状況」を公表します(厚労省HP)

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