今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 今年10月から施行される労働者派遣法で導入される「みなし制度」に関する行政解釈が厚労省審議会で提示された
  • 現在国会で審議中の労働者派遣法の改正案の動向も注目が必要

image089厚生労働省内の審議会において、労働者派遣法の労働契約申込みみなし制度について、法の趣旨及び行政解釈が示されました。

なお、本資料は、審議会に提出されたもので、労働者派遣法の改正案が現在国会で審議中で、本法案成立してから正式な行政解釈として通達されるように思われます。この点には、くれぐれもご留意ください。

さて、労働契約申込みみなし制度とは、派遣先が違法派遣と知りながら派遣労働者を受け入れている場合、違法状態が発生した時点において、派遣先が派遣労働者に対して労働契約の申し込み(直接雇用の申し込み)をしたものとみなす制度で、平成27年10月1日からの施行となっています。

ここでみなし制度の対象となる違法派遣は次のものとされています。

  • 派遣労働者を禁止業務に従事させること
  • 無許可又は無届出の者から労働者派遣の役務の提供を受けること
  • 期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること
  • 労働者派遣法又は同法の規定により適用される労働基準法等の規定の適用 を免れる目的で、請負その他労働者派遣以外の名目で契約を締結し、必要と される事項を定めずに労働者派遣の役務の提供を受けること(いわゆる偽装請負等)

このみなし制度は、これまで労働者派遣法の規制の主なターゲットであった派遣元ではなく、派遣先に課されるものである点に注意が必要です。現時点で、労働者派遣を受け入れている派遣先会社は一読することをおすすめします。

なお、このみなし制度について、あらかじめ派遣労働者に対して、「違法行為の前にあらかじめ『承諾をしない』ことを約する意思表示を行うことは公序良俗に反し認められない」とされています。

ところで、本制度の前提となるはずの労働者派遣法の改正案ですが、12日に衆議院本会議で審議入りしました。こちらの動向にも今後注目する必要があるでしょう。

■関連リンク

第220回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料(厚生労働省HP)

 

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