今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省が解雇や雇止め、労働条件の不利益変更など労働契約に関するパンフレットを改定
  • 今回の改定で、配置転換命令、出向命令、勤務成績を理由とする解雇に関する説明や裁判例が追加された。

厚生労働省が解雇や雇止め、労働条件の不利益変更など労働契約に関するパンフレットを改定しました。今回の改定では、従来の雇用慣行や年功的処遇体系の見直しが進み、人事管理が 個別化、複雑化する中で、個別の労働条件の変更等をめぐる多様な紛争が発 生していることも踏まえた内容が盛り込まれることになりました。

今回改定されたのは、次の3点です。

1.配置転換命令の有効性について争われた裁判例を追加するとともに、説明を記載

いわゆる「追い出し部屋」に関する報道などを受けて、「自らの社内での配置先を探させられるほかは単純労働のみを行うような部署へ配属すること は、人事権の裁量の範囲を逸脱した違法なものとして無効となる場合があるとする裁判例があり ます」などの説明と、裁判例が追加されました。

2.出向命令の有効性について争われた裁判例を追加するとともに、説明を記載

「一貫してデスクワークの仕事をしてきた労働者について、希望退職募集への応募の勧奨を断 った段階で、子会社に出向させて単純作業に従事させた場合は、当該出向は、退職勧奨を断っ た労働者が自主退職することを期待して行われたものであり、業務上の必要性がなく、また、 人選の合理性も認めることもできず、権利の濫用に当たり無効となる場合があるとする裁判例 があります」などの説明と、裁判例が追加されました。

3.勤務成績を理由とする解雇の有効性について争われた裁判例を追加。

追加された裁判例は、「長期雇用システム下で定年まで勤務を続けていくことを前提として長期にわたり勤続してきた正規従 業員を勤務成績・勤務態度の不良を理由として解雇する場合は、労働者に不利益が大きいこと、それまで 長期間勤務を継続してきたという実績に照らして、それが単なる成績不良ではなく、企業経営や運営に現 に支障・損害を生じ又は重大な損害を生じる恐れがあり、企業から排除しなければならない程度に至って いることを要し、かつ、その他、是正のため注意し反省を促したにもかかわらず、改善されないなど今後 の改善の見込みもないこと、使用者の不当な人事により労働者の反発を招いたなどの労働者に宥恕すべき 事情がないこと、配転や降格ができない企業事情があることなども考慮して濫用の有無を判断すべきであ る」(H13.8.15東京地決) とされたものです。

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適切な労務管理のポイント(厚労省HP、PDF)

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