今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 東京都が「契約社員に関する実態調査」結果がまとめ、公表
  • 契約社員を活用している理由は、「専門的・技術的な業務に対応するため」が47.8%で最も多く、次いで「正社員としての適性をみるため」(39.6%)となっており、前回調査に比べ約10ポイント上昇
  • 正社員の労働条件と不合理な相違があると感じている契約社員は、賃金では25.0%

世界の年金事務からvol:00X~葛飾年金事務所

世界の年金事務からVOL:007~茶と白のコントラストが鮮やかな「葛飾年金事務所」

東京都が「契約社員に関する実態調査」結果がまとめ、公表しました。

本調査は、非正規労働者のうち「有期、直接雇用のフルタイム労働者」を「契約社員」と位置付け、その働き方の実態や労使双方の意識を把握するために調査を実施されたもので、いわゆるパート・アルバ イトとは異なる点に注意してください。

本調査のポイントは次のとおりです。

  • 契約社員を導入している事業所の割合は45.4%となっている。
  • 契約社員を活用している理由は、「専門的・技術的な業務に対応するため」が47.8%で最も多く、前回 調査とほぼ同じ割合だったが、次いで多かったのは「正社員としての適性をみるため」(39.6%)となっており、前回調査に比べ約10ポイント上昇して、第2位になった。
  • 契約社員の仕事を選んだ理由は、「正社員として働ける適当な企業がなかったから」が28.0%で最も多く、次いで「やりたい仕事だったから」(25.2%)となっている。
  • 過去3年間で契約社員から正社員への転換実績が「ある」事業所は54.6%。
  • 「無期転換ルール」を知っていた事業所は90.8%、従業員は35.5%であり、事業所と従業員の認知度には大きな差がある。
  • 年収見込額が「300万円未満」の契約社員は49.4%。
  • 正社員の労働条件と不合理な相違があると感じている契約社員は、賃金では25.0%、賞与では33.1%、退職金では32.2%となっている。
  • 労働条件の相違が不合理であると感じる最も大きな理由は、「業務内容が同じだから」が40.5%を占め、次いで「業務に伴う責任の程度が同じだから」が25.0%となっている。

本調査では、他社での契約社員の活用目的や状況の一端を垣間見ることができます。たとえば、契約社員を活用するきっかけとしては、近年正社員へのステップアップとして活用しているケースが多いことがうかがえます。

一般的に、正社員の場合は入社数か月間は「試用期間」として雇入れるケースが多いですが、「解雇権濫用法理」は(理論的には緩やかに判断されるものの)、実務的にその線引きが難しいため、むしろ契約期間を設定して雇入れた方が、正社員雇用に踏み切りやすいといった傾向があるようです(近年のキャリアアップ助成金の増額もその一助になっていると思われます)。

しかし、入社当初を有期雇用で雇入れることは、求人広告や求人票では見栄えが悪く、正社員を希望する優秀な人材が集まりにくいというマイナス要素にも留意が必要でしょう。実際、本調査によれば、契約社員の年収の見込み額は300万円と安く、正社員と比較して「不合理な相違がある」と考えている契約社員も少なくないようです。

新たな人材を採用しようとする際、このような全体的な傾向もふまえて、どのような職種として募集するか検討するとよいでしょう。

参考リンク

平成27年度 中小企業労働条件等実態調査「契約社員に関する実態調査」結果がまとまりました(東京都HP)

MORI社会保険労務士・行政書士事務所(千葉県千葉市)では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろん契約社員等の活用に関するご相談、給与計算(年末調整)、労働・社会保険、就業規則、各種許認可業務等も対応します。

toiawase