今回の記事をざっくり言うと・・・

  • 最高裁判決をふまえ、妊娠・出産等を契機とする不利益取扱いに関するQ&Aが公表
  • 原則として、妊娠・出産・育休等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合は「契機として」いると判断される

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先日記事でご紹介した男女雇用機会均等法第9条第3項の適用に関する最高裁判所の判決があったことなどを踏まえ、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法の解釈通達を改正しました。今回は、さらに厚労省が作成した「妊娠・出産・育児休業等を契機とする不利益取扱いに係るQ&A 」をご紹介しましょう。

Q&Aといってもわずか3問しかありませんが、いずれも今後の実務の指針になりそうな重要なものです。たとえば次のようなものがあります。

問1

妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益取扱いに関しては、・・・、妊娠・出産・育休等の事由を「契機として」不利益取扱いが行われた場合は、原則として妊娠・出産・育休等を「理由として」不利益取扱いがなされたと解され、法違反だとされている。また、同通達では、「契機として」いるか否かは、基本的に、妊娠・出産・育休等の事由と時間的に近接しているかで判断するとされているが、具体的にはどのように判断するのか。

回答は次のとおりです。

原則として、妊娠・出産・育休等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合は「契機として」いると判断する。ただし、事由の終了から1年を超えている場合であっても、実施時期が事前に決まっている、又は、ある程度定期的になされる措置(人事異動(不利益な配置変更等)、人事考課(不利益な評価や降格等)、雇止め(契約更新がされない)など)については、事由の終了後の最初のタイミングまでの間に不利益取扱いがなされた場合は「契機として」いると判断する。(下線は当事務所)

このように、たとえば育児休業終了から1年以内に解雇等の不利益取扱いがなされた場合は、原則違法であるところから話がスタートするというわけです。そして、それが違法ではないと主張するためのには、通達において2つの事由が挙げられています。

残りの2問はこの2つの事由に関するものですので、一度目を通しておくとよいでしょう。

■関連リンク

妊娠・出産、育児休業等を契機とする不利益取扱いに係るQ&A(厚労省HP)

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