今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省が、妊娠を理由とした解雇を行い、かつ指導・勧告に従わなかった事業所について、初めてその名称を公表する処分を行った

image189厚生労働省が、妊娠を理由とした解雇を行い、かつ指導・勧告に従わなかった事業所について、初めてその名称を公表する処分を行いました。

この事案では、計4回の指導が行われました。その指導経緯は次のとおりです。

  • 平成27年3月19日茨城労働局長による助言
  • 平成27年3月25日茨城労働局長による指導
  • 平成27年5月13日茨城労働局長による勧告
  • 平成27年7月9日厚生労働大臣による勧告
  • 平成27年9月4日厚生労働省HP上で事業所名称の公表

ところで、男女雇用機会均等法では、妊娠・出産・育休などを理由とする、解雇・雇い止め・降格などの不利益な取扱い(いわゆる「マタニティハラスメント」、「マタハラ」)を行うことは、違法とされており、第30条において、厚生労働大臣による勧告に従わない場合、その旨を公表できるとされています。

妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの例としては、次のものが挙げられます。

  1. 解雇すること。
  2. 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
  3. あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
  4. 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
  5. 降格させること。
  6. 就業環境を害すること。
  7. 不利益な自宅待機を命ずること。
  8. 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
  9. 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
  10. 不利益な配置の変更を行うこと。
  11. 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと。

先日このニュースサイトでも紹介したマタハラに関する最高裁判例により、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いに関する新たな行政解釈も発出され、たとえば、原則として、妊娠・出産、育休等の事由の終了から1年以内に不利益取扱いがなされた場合は、妊娠、出産、育児等を「契機として」いると判断されるといった内容が盛り込まれるなど、厳格な運用が定められていますので、注意するべきでしょう。

また、今回の事案では、最初の指導から約半年で公表が行われています。万が一助言が行われた場合には、このくらいのスピード感であることも頭に入れて対応するべきでしょう。

■関連リンク

法人名が表示されているため、関連リンクは省略します。

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