今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 平成 28 年は建設業等を熱中症予防対策の重点業種としている
  • 熱中症対策としては、WBGT値(暑さ指数)の活用や休憩室の整備などが考えられる

image067今日(5月23日)は東京でも真夏日になるとのことでした。まだ体が暑さになれていないこの時期は、特に熱中症に気を付けなければならない時期です。

平成 27 年の職場における熱中症 による死亡者数(平成 28 年1月末時点速報値)は 32 人と例年より多く、特に 建設業及び建設現場に付随して行う警備業を合わ せた死亡者数は 19 人と、猛暑であった平成 22 年の死亡者数と同数でした。

このため、平成 28 年は建設業等を熱中症予防対策の重点業種とするとされており、厚生労働省はすでに「平成 28 年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施に ついて」(平成 28 年 2 月 29 日基安発 0229 第 1 号)に基づき、建設事業者等に 対して、特に屋外作業における留意事項、作業を管理する者や労働者に対する 労働衛生教育の実施等について周知、指導するとされています。

そこで、今回は、パンフレットなども参照しながら、その対策についてポイントをご紹介しましょう。

①  WBGT値(暑さ指数)の活用

  • 現場でWBGT値を測定する場合は、黒球付きのWBGT測定器を使用すること
  • 環境省熱中症予防情報サイトのWBGT予測値・実況値を利用する場合は、直射日光が当たる場所、照り返しがある場所、通風が悪い場所などでは、安全側に評価するよう配慮すること
  • WBGT基準値(パンフレット参照)を超え、または超えるおそれがある場合には、熱を遮る遮へい物、直射日光・照り返しを遮る簡易な屋根、通風・冷房の設備の設置や連続作業時間の短縮、作業場所の変更をすること
  • WBGT基準値を⼤幅に超える作業場所で作業を⾏わせる場合は、単独作業を控え、休憩時間を⻑めに設定すること

② 休憩場所の整備

  • 冷房を備えた休憩場所・日陰などの涼しい休憩場所を設けること
  • 氷、冷たいおしぼり、水風呂、シャワーなどの身体を適度に冷やすことのできる物品や設備を設けること
  • 水分や塩分の補給を、定期的、かつ容易に行えるよう、飲料水などを備え付けること
  • 現場管理者などが設置する休憩場所を借用する場合、それを借用する側の労働者に伝達すること。また、休憩場所を提供する側でも、休憩場所の利用を認めていることを提供する側の労働者に伝達するなど休憩を取りやすい環境を作ること

③ 計画的に、熱に慣れ、環境に適応するための期間

  • 労働者が熱に慣れ、環境に適応しているか確認し、適応していない場合は、7日以上かけて高温多湿の環境での作業時間を次第に長くすること
  • 夏休みなど長期の休み明けは、熱に対する慣れの度合いが低下している可能性があることにも注意すること

④ のどの渇きを感じないうちの水分・塩分の摂取

  • 尿の回数が少ない、または尿の色が普段より濃い状態は、体内の水分が附則している状態である可能性があります。水分や塩分の摂取を確認する表の作成、作業中の巡視での確認などにより、水分や塩分の摂取の徹底を図ること
  • トイレに行きにくいことを理由として労働者が水分の摂取を控えることがないよう、労働者がトイレに行きやすい職場環境を作ること

⑤透湿性・通気性の良い服装や帽子の着用

  • 熱を吸収する服装、保熱しやすい服装は避け、クールジャケットなどの、透湿性・通気性のよい服装を着用させること
  • 直射日光下では、通気性のよい、日よけ用布や帽子(クールヘルメット)などを着用させること

⑥ 日常の健康管理など、労働者の健康状態への配慮

  • 糖尿病、高血圧症、心疾患などの疾患は、熱中症の発症に影響を与えるおそれがあります。健康診断の際には、高温多湿場所での作業の有無または可能性について医師に伝えた上で、医師などの意見に基づき就業上の措置を徹底すること
  • 朝礼などの際には、睡眠附則、体調不良、前日の飲酒、朝食の未摂取、風邪などによる発熱、下痢などによる脱水など、熱中症の発症に影響を与えるおそれがある状態かどうかを確認すること
  • 作業中は労働者の心拍数、体温、尿の回数・色など、健康状態や水分・塩分の摂取状況を頻繁に確認すること
  • 高温多湿の作業場所での作業終了時に労働者の体温を測定し、必要に応じて、濡れタオルの使用などにより体温を下げるように努め、平熱近くまで下がることが確認できるまでは、一人にしないようにすること

⑦ 熱中症を予防するための労働衛生教育

  • 熱中症の予防には、熱中症に対する正しい知識が不可欠です。高温多湿の作業場所の作業管理者には表3による教育をすること
  • 労働者にも、体調の異常を正しく認識できるよう、雇入れ時や新規入場時にパンフレット記載内容などによる教育をするとともに、朝礼などの際にも繰り返し教育すること

⑧ 熱中症の発症に備えて、緊急連絡網の作成

  • あらかじめ、緊急時に直ちに熱中症に対応できる近隣の病院、診療所の情報を把握の上、緊急連絡網や救急措置の手順を作成し、関係者に周知すること
  • 症状が急激に悪化する場合に備え、熱中症を疑う症状がなくなるまで、または病院などに搬送するまでは、可能な限り、労働者を一人にしないようにすること

参考リンク

職場における熱中症予防対策(厚生労働省HP)

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