今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 全建の調査では、雇用保険・健康保険・年金保険の「3保険とも一次下請企業のほぼ全社で加入。現場労働者ベースで見ても健康保険で9割以上となった

image051一般社団法人全国建設業協会(全建)が、10月6日付で『賃金水準の確保及び社会保険加入状況等調査』の結果概要をHPに公開しました。今回はその内容についてみてみたいと思います。

本調査は、「47 都道府県協会 を通じて、傘下会員企業各 30 社を対象に、賃金の引上げ、社会保険の加入、週休2日制 の普及及び重層下請の各状況について実態調査を実施」したものです。

そのうち、社会保険の加入の結果については、雇用保険・健康保険・年金保険の「3保険とも一次下請企業のほぼ全社で加入。現場労働者ベースで見ても健康保険で9割以上 (前年は約8割)、年金保険、雇用保険で約8割が加入」しているとしています。

具体的には、健康保険で、「 一次下請企業は 94.1%(前年 93.4%)が加入、現場労働者の加入は 91.1%(同 83.4%)、年金保険で、「 一次下請企業は 93.5%(前年 92.5%)が加入、現場労働者の加入は 84.2%(同 81.0%)」、雇用保険で「一次下請企業は 94.0%(同 92.9%)が加入、現場労働者の加入は 79.8%(同 75.8%)」でした。

このように、社会保険の加入促進は昨年よりも進んでいるようです。また、この数字は、私の実感を大きく上回ります。

そこで、国土交通省の調査も参照してみましょう。

国土交通省が昨年12月に行った全国約200現場(民間建築工事)の元請及び下請企業を対象としたサンプル調査(3327件)によれば、健康保険 、厚生年金保険 、雇用保険の加入率は、企業別で健康保険73.2%、厚生年金68.3%、雇用保険71.4%、作業員別で健康保険66.6%、厚 生年金67.1%、雇用保険78.3%でした。

こちらの方が、どちらかというと実態を反映しているように思われます。

しかし、どちらの調査でも、加入率が上昇していることは確かなようです。

ただ、実際に会社が加入を検討しても、年齢の高い従業員から今更厚生年金に入っても年金はもらえないと反対されるケースもあるようです。この場合、たとえば、具体的な保険料額を試算して示したり、老齢基礎年金の受給資格期間が25年から10年に短縮される見込み(もともとは今月からでしたが、消費税率引き上げの延期とともに先送り)であるとか、健康保険であれば傷病手当金のような制度があることなどの説明をしていますが、一筋縄にはいかず苦労するケースも耳にします。

社会保険の未加入問題については、今後も新しい情報があれば取り上げていきたいと思っています。

関連リンク

『賃金水準の確保及び社会保険加入状況等調査』の結果概要を掲載します(全建HP)

社会保険未加入対策推進協議会第4回資料(国土交通省HP)

公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律要綱(厚生労働省HP)

 

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