今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 愛知労働局が平成28年度の労働者派遣事業及び職業紹介事業に係る指導監督状況を公表
  • 派遣元に対する指導事項の割合は、「派遣元管理台帳」が最も多く、次いで「就業条件の明示」、「派遣契約の定め」
  • 平成27年度の労働者派遣法改正に伴う新たに定めるべき事項等への未対応が目立ったとされた

愛知労働局が平成28年度の労働者派遣事業及び職業紹介事業に係る指導監督状況を公表しました。他県ではありますが、労働者派遣事業の指導状況を伺うのに良い資料ですので、ここで取り上げることにしましょう。

平成28年度は、主に労働者派遣事業の派遣元を中心に1,050 事業所(前年度比68.8%増)に対して指導監督を行い、文書指導を行った事業所数は、285 事業所(同41.1%増)となりました。

そして、派遣元に対する指導事項の割合は、「派遣元管理台帳」(31.9%)が最も多く、次いで「就業条件の明示」(31.7%)、「派遣契約の定め」(27.2%)となっています。労働者派遣元事業所では、平成27年度の労働者派遣法改正に伴う新たに定めるべき事項等への未対応が目立ったとされています。

なお、それぞれの指導内容は次のようになっています。

派遣元管理台帳(派遣労働者の就業状況の記録)

  • 派遣元管理台帳が作成されていない
  • 法定項目が記載されていない(派遣就業の場所の組織単位、派遣労働者が60歳以上であるか否かの別 等)

就業条件の明示(派遣業務内容、派遣先名等の派遣労働者に対する書面による明示)については、次のようになっています。

  • 就業条件の明示を行っていない(書面による明示をしていないものを含む)
  • 法定項目が記載されていない(就業時間外(就業日外)労働させることができる時間数又は日数、事業所単位及び個人単位の派遣期間の制限に抵触することとなる日 等)

派遣契約の定め(派遣先との派遣就業に関する契約)については、

  • 書面により作成されていない
  • 法定項目が記載されていない(無期雇用派遣労働者又は60歳以上に限定するか否かの別、派遣就業場所の組織単位 等)

となっています。

このように、基本的な帳簿の未整備が指導されるケースが多いようです。帳簿については、ひな形やモデル例が労働局によって公表されています(愛知労働局でも公表されています。)。改正前に作成したものについては、これを機に見直すようにしましょう。

次に、職業紹介については、112件の指導監督を実施した結果、「取扱職種の範囲等の明示」(38.2%、対前年比8.8㌽減)、「変更届出未提出」(25.5%、同10.9㌽減)、「帳簿の備付け」(19.6%、対前年比9.2㌽減)となっています。

取扱職種の範囲等の明示(求人者、求職者への業務の内容の明示)に関する文書指導事項については、

  • 取扱職種の範囲等の明示が行われていない(書面の交付がないものを含む)
  • 法定項目が明示されていない(苦情の処理、求人者・求職者の個人情報の取扱いに関する事項)

帳簿の備付け(求人求職管理簿、手数料管理簿の作成・備付)については、

  • 管理簿が備え付けられていない
  • 取り扱った状況が記載されていない

などとなっています。

参考リンク

平成28年度労働者派遣事業等指導監督状況について(愛知労働局HP)

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