今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省が平成29年に技能実習生の実習実施者に対して行った監督指導や送検等の状況について取りまとめ、公表
  • 平成29年の監督指導の結果、労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、全体の70.8%
  • 違反事項は、労働時間が最も多かった
  • 重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは34件

世界の労働基準監督署からVOL007:木更津労働基準監督署

厚生労働省が平成29年に技能実習生の実習実施者に対して行った監督指導や送検等の状況について取りまとめ、公表しました。

外国人技能実習制度は、外国人が企業などでの実習を通して技術を習得し、母国の経済発展を担う人材となるよう育成することを目的としています。しかし、実習実施者では、労使協定を超えた残業、割増賃金の不払い、危険や健康障害を防止する措置の未実施などの労働基準関係法令に違反する事例が依然として存在しています。

平成29年の監督指導の結果、労働基準関係法令違反が認められた実習実施者は、監督指導を実施した5,966事業場(実習実施者)のうち4,226事業場に上りました。これは、全体の70.8%に上ります。主な違反事項は、(1)労働時間(26.2%)、(2)使用する機械に対して講ずべき措置などの安全基準(19.7%)、(3)割増賃金の支払(15.8%)の順でした。

また、重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは34件に上りました。

違反事例としては、次のようなものがあります。

  • 1年単位の変形労働時間制を採用しており、タイムカードで労働時間を管理している。
  • 労働時間の記録を確認すると、技能実習生8名を含む12名の労働者に月80時間を超える時間外労働を行わせており、月最長140時間程度の違法な時間外労働を行わせているほか、特別延長時間(1か月100時間)の適用回数も年6回の限度を超えている。
  • 事業場には、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導の実施方法等が整備されていない。

監督署は、技能実習生などに、36協定の限度時間を超えて、違法な時間外労働を行わせていたため是正勧告し、過重労働による健康障害防止対策として時間外労働時間の削減と長時間労働者に対する面接指導等の実施方法及び実施体制の検討を併せて指導しました。

その結果、時間外労働の削減の取組として、繁忙部署の派遣社員を増員したり、早出と遅出のシフトを新たに設けることにより、業務の平準化を図るなどした結果、月80時間を超える時間外労働を行う労働者がいなくなり、その後も継続して時間外労働の削減が進んだとされました。

労働局や労働基準監督署は、監理団体および実習実施者に対し、労働基準関係法令などの周知・啓発に努めるとともに、労働基準関係法令違反の疑いがある実習実施者に対しては監督指導を実施するなど、引き続き、技能実習生の適正な労働条件と安全衛生の確保に重点的に取り組んでいくとしています。

参考リンク

外国人技能実習生の実習実施者に対する平成29年の監督指導、送検等の状況を公表します~監督指導を行った実習実施者のうち、労働基準関係法令違反が認められたのは70.8%~(厚労省HP)

MORI社会保険労務士・行政書士事務所(千葉県千葉市)では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろん外国人の労務管理に関するご相談、給与計算(年末調整)、労働・社会保険、就業規則、各種許認可業務等も対応します。なお、当事務所代表は管理責任者養成講習を受講済みですので、管理団体様からのご相談も対応いたします。

toiawase