今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 入社した社員が同月に退職した場合の社会保険料について解説する
  • 厚生年金保険料は、平成27年10月1日以降、厚生年金保険の被保険者の資格を取得した月に資格喪失し、さらにその月に国民年金の被保険者(第2号被保険者は除きます。)の資格を取得した場合には厚生年金保険料の納付は不要
  • 健康保険については、その月分の保険料が必要

世界の年金事務所からVOL11:池袋年金事務所

最近、入社した社員が同月に退職した場合の社会保険料について、立て続けにご相談をいただきました。今回は、備忘録の意味も含めて、この点について解説したいと思います。

まず、健康保険・厚生年金の保険料の原則的な取扱いについてみてみましょう。

入社した月については、入社日に健康保険・厚生年金の被保険者資格を取得することとなります。保険料は月単位で計算しますので、資格取得した月の保険料から支払う必要があります。

また、退職した月については、退職日の翌日に厚生年金の被保険者資格を喪失することとなります。保険料は、資格喪失日が属する月の前月分まで納める必要があります。

なお、月の「末日」に退職した場合は、翌月1日が資格喪失日となりますので、退職した月分までの保険料を納める必要があります。この場合は、給与計算の締切日によって、退職時の給与から前月分と当月分の社会保険料が控除する必要がある場合があります。

では、同月中に入社し退社した場合には、どのようになるのでしょうか。

始めに厚生年金保険料は、平成27年10月1日以降、厚生年金保険の被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失し、さらにその月に国民年金の被保険者(第2号被保険者は除きます。)の資格を取得した場合には厚生年金保険料の納付は不要となり、国民年金保険料を納めることとなりました。

この場合、年金事務所が該当する被保険者の国民年金加入を確認した後に、在籍していた事業所あてに厚生年金保険料の還付についてのお知らせを送付します。還付手続き後、被保険者負担分と会社負担分が合わせて会社に還付されますので、被保険者負担分保険料は会社から被保険者であった方へ還付します。

一方、健康保険については、その月分の保険料が必要となりますので、保険料の還付はありません。

したがって、健康保険と厚生年金保険では、現在、同月得喪にかかる社会保険料の取扱いが異なるわけです。このような状態はきわめてわかりづらく、従業員の理解も得られにくいため、立法的な対応が求められるところです。

参考リンク

資格の喪失について(協会けんぽHP)

Q. 月の途中で会社に勤めたり、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。(日本年金機構HP)

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