image033大手通信教育会社の情報漏えい事件が発覚してから、秘密保持の誓約書に対して関心が高まっています。

そこで、今回は平成24年に経済産業省が行った「人材を通じた技術流出に関する調査研究報告書」で、秘密保持の契約の締結や誓約書の提出について、「世間相場」がどのようなものか見てみることにしましょう。

まず、どのくらいの企業が秘密保持に関する文書を取り交わしているのかについてですが、従業員との秘密保持契約の締結に関して、「締結していない」企業が 43.4%、「締結している」企業が 55.5%となっています。従業員との秘密保持契約は、役員に対するものよりも多くの企業で締結されており、退職後の秘密保持を契約で義務づけている企業は約 5割となっています。おおよそ半分強の企業では、2年前の時点で秘密保持契約を締結しているわけです。

これを業種・規模別の集計結果を見ると、中小規模企業は大規模企業に比べて、秘密保持契約を締結している割合が大幅に低い結果となっています(この結果は役員との秘密保持契約においても同様)。

次に、その契約の内容にみてみましょう。秘密事項の特定のレベルは、「在職中に知りえた情報全般」の割合が最も高く 86.3%となっており、次いで、「対象を特定した情報(19.2%)」、「秘密情報の管理責任者から指定された情報(15.9%)」となっています。役員・従業員と秘密保持契約等を締結している企業においても、多くの場合「在職中に知り得た情報一般」という、広範な内容となってることがわかります。

最後に、締結のタイミングです。これについては、「入社時に個別契約を締結又は誓約書を提出」の割合が最も高く 87.0%、次いで、「退職時に個別契約を締結又は誓約書を提出(42.7%)」となっています。これは、契約の締結や誓約書の提出を一番行いやすい時期に行っているということでしょう。

このように、秘密保持契約は、「入社時」に「在職中に知りえた情報全般」について締結するのが一般的といえるでしょう。就業規則にも秘密保持義務については記載してあるのがほとんどだと思いますが、特に誓約書等を提出させることによって、その重要性を認識させる抑止力が期待できます。まだこういった書類の提出をさせていた企業では、今回の事件もかんがみて、作成を検討してみてはいかがでしょうか。

■関連リンク

これまでの報告書一覧(経済産業省HP)

 

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