今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになる
  • 「任意加入制度」等の利用により資格期間を満たすことができる場合もある。

これまで、老齢年金を受け取るためには、保険料納付済期間(国民年金の保険料納付済期間や厚生年金保険、共済組合等の加入期間を含みます。)と国民年金の保険料免除期間などを合算した「資格期間」が原則として25年以上必要でしたが、法改正により、平成29年8月1日からは、資格期間が10年以上あれば老齢年金を受け取ることができるようになりました。

資格期間が10年以上25年未満の方については、「 年金請求書(短縮用)」及び年金の請求手続きの案内が日本年金機構から送付されます。請求手続きは平成29年8月1日以前でも可能です。年金の決定後は、平成29年8月以降に「年金証書・年金決定通知書」が送られ、年金の支払いは平成29年10月以降になります。

ところで、10年の資格期間がない方でも、下記の制度を活用することで、年金を受け取れる可能性があります。

第一には、「任意加入制度」です。すなわち、次の方については、本人の申出により「60歳以上70歳未満」の期間に国民年金保険料を納めることで、年金を受給するために必要な資格期間を満たせることがあります。ただし、加入は申出のあった日からになりますので、注意が必要です。

  •  60歳以上65歳未満の方
    • 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない方
    • 現在、厚生年金保険に加入していない方
  • 65歳以上70歳未満の方
    • 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない方
    • 現在、厚生年金保険に加入していない方

第二には、「後納制度」です。

過去5年以内に国民年金保険料の納め忘れがある次の場合には、申し込みにより平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限り、国民年金保険料を納めることができます。

  • 5年以内に保険料を納め忘れた期間がある方(任意加入中の保険料も該当します)
  • 5年以内に未加入の期間がある方(任意加入の対象となる期間は該当しません)

なお、60歳以上で老齢基礎年金を受け取っている方は申し込みできません。

第三には、次の「特定期間該当届・特例追納制度」を利用することにより、資格期間を満たすことができる場合があります。

会社員の夫が退職したときや妻の年収が増えて夫の健康保険の被扶養者から外れたときなどに、本来は国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への切替が必要でした。このような場合に、過去に2年以上切替が遅れたことがある方は、切替が遅れた期間の年金記録が保険料未納期間になっていますので、「特定期間該当届」の手続きをすることで、年金を受け取れない事態を防止できる場合があるほか、最大で10年分の保険料を納めることができます。ただし、納付できる期間は平成30年3月までです。

ところで、社会保険の未加入事業所の中には、年金保険料をほとんど納めていない中高年齢の従業員への説明に苦慮することがあります。本改正は、その説得材料になるかもしれません。

参考リンク

必要な資格期間が25年から10年に短縮されます(日本年金機構HP)

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