今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」が報告書を公表
  • 報告書では、従前のパワハラの定義を参考にしつつ、1.優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること、2.業務の適正な範囲を超えて行われること、3.身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること、の3つの要素のいずれも満たすものを職場のパワーハラスメントの概念として整理することとした

写真と記事は関係ありません。

厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」が報告書を公表しました。

報告書では、パワーハラスメントを巡る現状やセクハラ、マタハラ等の類似の制度、諸外国での取組等をふまえた上で、あらためて、パワーハラスメントの概念整理を行いました。

これまでは、円卓会議のワーキング・グループによる「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」が厚労省が示したものでしたが、今回、これを参考にしつつ、以下の①から③までの要素のいずれも満たすものを職場のパワーハラスメントの概念として整理することとしました。

  1. 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
  2. 業務の適正な範囲を超えて行われること
  3. 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

報告書では、さらに、これらの要素ごとの具体的内容を示しています。しばしば線引きが難しいといわれる2については、これに当てはまる主な例として、次のような行為が示されており、判断基準として参考になります。

  • 業務上明らかに必要性のない行為
  • 業務の目的を大きく逸脱した行為
  • 業務を遂行するための手段として不適当な行為
  • 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える行為

ところで、円卓会議のワーキング・グループの報告では、職場のパワーハラスメントの行為類型として、6つの行為類型が示されています。これらの6つの行為類型については、今回、追加すべきものも特段挙げられませんでしたが、今回新たに整理した職場のパワーハラスメントの上記1から3までの要素と、これまでの6つの行為類型の関係性を明確にするために、本報告書では、1から3までに示した要素を満たすと考えられるものとそうでないものの例を挙げています。

たとえば、「脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)」については、1から3までの要素を満たすと考えられる例として、「上司が部下に対して、人格を否定するような発言をする」、満たさないと考えられる例として、「遅刻や服装の乱れなど社会的ルールやマナーを欠いた言動・行動が見られ、再三注意してもそれが改善されない部下に対して上司が強く注意をする(2、3に該当しないため)」といったものが示されています。

このように、本報告書ではパワハラ防止に取り組みやすくするために、パワハラの概念について整理しており、参考になります。

参考リンク

「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書を公表します(厚労省HP)

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