今回の記事、ざっくり言うと・・・
- 国交省内の検討会が自動車整備業における労働環境、待遇の改善や女性の活用などの人材不足問題解消への先進事例について報告書を公表
- 給与、労働時間・休日休暇、作業環境、技能向上に関する先進事例などが紹介されている
国交省が、省内に設置した「自動車整備人材の確保・育成に関する検討会」において自動車整備業における労働環境、待遇の改善や女性の活用などの人材不足問題に対して検討を進めてきましたが、今回その報告書を公表しました。
本報告書では、現状の課題・実態とそれに対応する先進事例が掲載されていますので、今回はそのポイントについてみてみましょう。
給与の課題・実態
- 労働時間等に対して低い等から他業種と比較して給与に対する不満度が高い
- 専業事業者等では、ディーラーに比べ、年齢が上がっても給与が上がりにくい
→様々な能力の評価に対応したインセンティブ付与、アイディアに対する報奨金、年功序列の人事制度の改革、僅かでも定期昇給を実施(給与の上がる道筋を見せる)など
労働時間、休日・休暇のの課題・実態
- 労働時間が長く、調整ができないことから他業種と比較して不満度が高い
- 休日出勤や希望する日に休みが取りづらく他業種と比較して不満度が高い
→管理職において余暇の充実を図るよう意識改革を実施、残業削減及び育児等との両立のための柔軟なシフト設定、助成整備士がエンジニアリーダーや工場長に など
作業環境の実態・課題
- 設備の老朽化、コミュニケーションのとりづらさが不満理由の上位
- 女性進出の課題として「体力面」があげる事業者が約半数
→体に負担の少ない器具の導入等可能な範囲からの環境改善、社員意見の有効活用によるコミュニケーションの活発化、社員の悩みを聞く「社員相談グループ」を設置、毎日の社員アンケート実施により事業場の課題をリアルタイム把握 など
やりがい
- 他者の力になった時や修理した時の達成感はあるがやりがいの満足度は低い
→社内独自資格制度の創設によるモチベーション維持、スキャンツールの早期導入、ハイブリッド車入庫促進への取組み、店舗間のスタッフ入れ替えによる新たな着眼点の発見など
技能向上
- 最新技術等の研修に関する従業員のニーズへの対応が不十分
→基礎技能教育と独自ニーズを加えた高度な教育の両立、高卒を採用し、整備学校へ通学させるなど
自動車整備業も人手不足が深刻な業界の一つですが、そのような状況を打開するための取り組みを始めている企業の事例は、同業種の企業には大いに参考になるものと思われます。また、自動車整備業以外でも、これらの取組みは参考になるでしょう。
関連リンク
自動車整備人材の確保・育成に関する検討会報告書を公表します~今後の自動車整備業の人材確保・育成に関する取り組みについて~(国交省HP)