今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 介護休業等の対象となる「要介護状態」を検討している研究会の報告書の素案が公表
  •  「常時介護を必要とする状態」とは、介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であることのほか、要介護1以下の場合についても、たとえば、認知症であって「外出すると戻れない」ということが「ほとんど毎回ある」場合には「常時介護を必要とする状態」と判断され、当該状態が2週間以上の期間にわたる場合に介護休業の対象となる

土曜日の日経新聞の一面にも掲載されていたように、介護休業等の対象となる「要介護状態」を検討している研究会の報告書の素案が公表されました。

「要介護状態」については、育児・介護休業法では、「負傷、疾病または身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」とされています。これは、(私も知りませんでしたが)「昭和62年当時の「特別養護老人ホームへの入所措置の基準」・・・を参考に・・・介護休業創設時に局長通達において規定された」ものとされているところ、「介護保険制度における要介護認定が広く認知されてきている状況を踏まえ、労働者・事業主双方にとってわかりやすいものとするという観点から、介護保険制度における要介護認定と整合的なものとすべき」などの理由から、今回改正案が提案されたものです。

その改正案は次のとおりです。

「常時介護を必要とする状態」とは、以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であること。

  1. 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
  2. 状態①~⑫のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。

image207

このように、介護休業の可否として、まず介護保険の要介護状態とリンクしたものとなりました。

また、介護を受ける家族が要介護認定を受ける前に介護休業制度等の利用を申し出る場合や、要介護認定を受けられる年齢(40 歳)に達しない場合等(1)以外の場合については(2)の基準を用いて判断するものとされました。

なお、要介護認定を既に受けているが、要介護1以下の場合についても、(2)の基準に照らし該当すれば、基準に該当すると判断されます。たとえば、要介護1の認定を受けているが、認知症であって「外出すると戻れない」ということが「ほとんど毎回ある」場合には「常時介護を必要とする状態」と判断され、当該状態が2週間以上の期間にわたる場合に介護休業の対象となるとされました。

育児介護休業法の改正もそうですが、「常時介護を必要とする状態」を規程に掲載している場合には、本改正が行われた際に規程の見直しが必要になってきます。

参考リンク

第3回介護休業制度における「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」に関する研究会(厚生労働省HP)

MORI社会保険労務士・行政書士事務所(千葉県千葉市)では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろん育児・介護休業規程の改定に関するご相談、給与計算(年末調整)、労働・社会保険、就業規則、各種許認可業務等も対応します。

toiawase