今回の記事をざっくり言うと・・・

  • 経団連が「2015 年度福利厚生費調査結果概要」を公表厚生労働省が平成28 年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を取りまとめ、公表
  • 平成28 年中に「1 人平均賃金を引き上げた・引き上げる」は86.7% で、前年を上回った
  • 1 人平均賃金の改定額(予定を含む。)は5,176 円で前年を下回った

a0001_000130厚生労働省が平成28 年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を取りまとめ、公表しました。

本調査は、全国の民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法などを明らかにすることを目的に、 毎年8月(平成20 年以前は9月)に調査を行っています。

今回の調査結果は、常用労働者100 人以上を雇 用する企業1,709 社について集計したものです。

まず、賃金の改定の状況についてみていきましょう。

全企業のうち、平成28 年中に「1 人平均賃金を引き上げた・引き上げる」は86.7%(前年85.4%) で、前年を上回りました。平成28 年の1 人平均賃金の改定額(予定を含む。)は5,176 円(前年5,282 円)で前年を下回り、改 定率は1.9%(同1.9%)で前年と同水準となっています。

なお、300~999 人規模及び100~299 人規模で改定額、改定率とも前年を上回っています。

平成28年中に賃金の改定を実施し又は予定していて額も決定している企業について、賃金の改定 の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」が51.4%(前年52.6%)と最も多く、 「重視した要素はない」を除くと、「労働力の確保・定着」が11.0%(同6.8%)が次いで多くなっています。

次に、定期昇給等の実施の状況については、平成28 年中の賃金改定が未定以外の全企業(賃金の改定を実施し又は予定している企業及び賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」は、管理職68.1%(前年69.9%)、一 般職78.4%(同 77.6%)で、一般職は前年を上回りました。

また、定期昇給制度がある企業のうち、平成28 年中にベースアップを「行った・行う」は、管理職17.8% (前年20.5%)、一般職23.3%(同 25.0%)で、ともに前年を下回りました。

このように、前年に引き続き賃金の引き上げは広く行われているようですが、多くの企業は企業業績に重点を置いて実施していることがわかります。その観点で、上げ幅が縮小したこと、ベースアップが一般職でも2割強しか実施していない点をみると、必ずしも先行きを楽観視していない企業の態度がうかがえます。

参考リンク

賃金引上げ等の実態に関する調査:結果の概要(厚生労働省HP)

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