image098先日、厚生労働省が平成 25 年「労働組合活動等に関する実態調査」の結果を公表しました。なお、前回調査は平成20年であり、それから5年ぶりの調査ということになります。

その結果をみると、以下のように、労働組合の非正規労働者に関する問題への関与が進んでいる実態が明らかになりました。

1 組織拡大への取組状況(単位労働組合)

  • 組合活動の重点課題として組織拡大に取り組んでいる労働組合は 34.1%(前回29.6%)。
  • 組織拡大の取組対象としている労働者(複数回答)(注2)は多い順に「新卒・中途採用の正社員」64.4%(前回 54.4%)、「在籍する組合未加入の正社員」50.9%(前回 50.5%)、「有期契約労働者」45.9%、「パートタイム労働者」34.4%(前回 31.8%)。

2 賃金制度の改定に関する状況

  • 正社員の賃金制度の改定にあたって関与した労働組合は 96.0%、正社員以外の労働者の賃金制度の改定にあたって関与した労働組合は 57.0%。

3 正社員以外の労働者に関する状況

  • 使用者側と話合いが持たれた事項(複数回答)は「正社員以外の労働者(派遣労働者を除く。)の労働条件」38.3%、「有期契約労働者の雇入れに関する事項」24.1%、「パートタイム労働者の雇入れに関する事項」22.9%。
  • 正社員以外の労働者への労働協約の適用状況は、「全部又は一部が適用される」64.5%、「全く適用されない」17.7%、「労働協約はない」14.0%。

4 メンタルヘルスに関する取組(単位労働組合)

  • メンタルヘルスに関する取組はこれまで 86.1%の労働組合が実施。取組事項(複数回答)は「労使協議機関、職場懇談会等での協議」58.7%、「安全衛生委員会(衛生委員会も含む。)の調査審議への参加」57.7%、「組合機関誌、掲示板等での情報提供・啓発活動」45.7%。
  • 「今後」の取組事項では「これまで」に比べ「メンタルヘルス不調の休業者の職場復帰支援」が増加(これまでの取組 16.2%→今後の取組 22.0%)。

このように、組織拡大の取組み対象として非正規社員を含める労働組合が増加したほか、非正規社員の賃金制度の改定にあたっても、半数以上の労働組合が関与していることが明らかになりました。また、今日的な課題であるメンタルヘルスに関しても、多くの労働組合が取り組むようになっています。

しかし、正社員と非正社員では利害が対立する点もあります。正社員主体の労働組合が非正規社員を取り込むことができるのか、あるいは非正規社員が独自に労働組合を結成するような動きが広がるのか。そもそも労働組合の影響力自体が減退している現在ですが、このような意味でも、今労働組合は変化の真っただ中にあるといえるように思います。

■関連リンク

平成25年労働組合活動等に関する実態調査結果の概況(厚労省HP)

 

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