image156独立行政法人労働政策研究・研修機構(JIL)は「60 代の雇用・生活調査」結果を公表しました。これは、60 歳代の雇用・生活の実態と 65 歳を超えた就業促進の条件把握のためのものです。

高年齢者雇用安定法では、定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を実施することを義務付けています。

そのため、一部では定年年齢そのものを65歳まで引き上げる企業も見られますが、まだ多くの企業では60歳定年を維持し、60以降は再雇用などにより労働条件を見直しした上で65歳まで継続雇用しています。

本調査では、60歳定年到達時の労働条件の見直しを検討するに当たって参考になるものです。

本調査結果によれば、定年到達時の雇用継続の前後で、8割程度が職業(大分類)に変化はなかったとしている一方、仕 事の内容については、責任の重さが変わったとする人が 35.9%いるなど変わったとする人も多く、 変わっていないとする人は 50.3%となっています。

また、その前後で賃金が減少したとする人が8割程度を占め、減少したとする人の 半数超が賃金減少幅は2~5割であったとしています。

このように、一般的な傾向としては、仕事の内容を見直したうえで賃金額を減じて継続雇用する会社が多いようです。

これについて、労働者側の考えについても、本調査は取り扱っています。

それによれば、賃金が下がったことについて、 「雇用が確保されるのだからやむを得ない」(48.5%)など納得しているとする人が多いものの、「仕事がほとんど変わってないのに賃金が下がるのはおかしい」(30.2%)など疑義を持つ人も 60~64 歳層を中心に少なくないとされています。

今後この傾向に変化が生じてくるとすれば、労働力不足が今以上に強まった時期となるでしょう。労働力不足となったときに、どういった労働力の活用を検討するかは会社によって異なりますが、高年齢者を活用しやすい(あるいは「せざるをえない)業種では、従来型の処遇(60歳以降賃金切り下げを行う処遇)を見直す必要性が徐々に強まってくると思われます。

■関連リンク

「60代の雇用・生活調査―60歳代の雇用・生活の実態と65歳を超えた就業促進の条件把握のための調査―」結果(GJIL、PDF)

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