今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省内で36協定における時間外労働規制の在り方について検討会が設置
  • 検討会では、36協定上の延長時間、実際の時間外労働などの実態や課題の把握等を行うとされている

DSC_0146ニッポン一億総活躍プランにおいて、「労働基準法については、労使で合意すれば上限なく時間外労働が認められる、いわゆる36(サブロク)協定における時間外労働規制の在り方について、再検討を開始する。」とされたことを受け、厚生労働省内で検討会が設置されました。検討会では、次の事項について検討されます。

  1. 36協定上の延長時間、実際の時間外労働などの実態や課題の把握
  2. 諸外国 における労働時間制度の現状と運用
  3. 健康で仕事と生活の調和がとれた働き方を実現するめ方策
  4. その他

ところで、わが国の年間総実労働時間は減少傾向で推移しているが、これは一般労働者(パートタイム労働者以外の者)についてほぼ横ばいで推移するなかで、平成8年頃からパートタイム労働者比率が高まったこと等がその要因と考えられています。

公開された資料によれば、現在、週の労働時間が60時間以上の者の割合は、全体では近年低下傾向で推移し、1割弱となっていますが、30代男性では16.0%と、以前より低下したものの高水準で推移しています。

また、36協定を締結している事業場割合は、55.2%で、特別条項付きの協定を締結している割合は全体の22.4%で、特別条項付きの協定は大企業が多く締結しているとされています。

もっとも、36協定を締結していない事業場が締結していない理由をみると、「時間外労働・休日労働がない」が43.0%と一番多かった一方で、「時間外労働・休日労働に関する労使協定の存在を知らなかった」(35.2%)、「時間外労働・休日労働に関する労使協定の締結・届出を失念した」(14.0%)、「就業規則等で規定を設けるのみで十分と思っていた」(1.0%)等も見られたことから、本来締結すべきであるにもかかわらず、それをしていない事業場もかなりの数が存在していると思われます。

興味深いのは、残業に対するイメージです。労働時間が長い人ほど、上司が残業をしている人に対して「頑張っている人」「責任感が強い人」等のポジティブなイメージを持っていると考えている傾向が強く、労働時間が短い人ほど、上司が残業をしている人に対して「仕事が遅い人」「残業代を稼ぎたい人」等のネガティブなイメージを持っていると考えている傾向が強いとされました。つまり、労働時間の長短が、上司の評価態度(の想定)に影響されていることがうかがわれます。

参考リンク

第1回仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会(厚生労働省HP)

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