今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 法改正により平成28年4月1日に小規模企業共済制度が改正された
  • 個人事業者の親族内における事業承継の円滑化、会社役員の次世代への交代の円滑化等を図るために一定の場合の受取額が引き上げられた
  • 経営状況に応じた掛金の柔軟化が図られた

DSC_0191平成28年4月1日に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律」が施行され、小規模企業共済制度が改正されました。今回は、その内容についてみてみましょう。

ところで、小規模企業共済制度とは  「経営者の退職金制度」 で、個人事業者や会社等の役員が、廃業・退職後の生活の安定等を図るため の資金として積み立てを行う共済制度です。毎月の掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲内(500円単位)で自由に選択できるなど少額から始めることができる点が特徴です。

今回の法改正による変更点の主なものは、次の3点です。

1.個人事業者の親族内における事業承継の円滑化

現行制度では、廃業した場合に最も 多額の共済金が支給されますが、個人 事業者が親族内で事業承継した場合も、廃業と同様の支給額とされました。

2.会社役員の次世代への交代の円滑化

小規模企業者の高齢化が進む中、 次世代へのバトンタッチを促すた め、65歳以上の会社役員が退任 した場合の共済金の支給額を引き 上げられます。

3.小規模企業の経営状況に応じた掛金の柔軟化

現行制度では、経営の悪化、疾病・負傷等の場合を除き、毎月支払う掛金の額の減額が認められませんでしたが、今回の制度改正により、平成28年4月1日以降に減額の手続きする場合には、理由を問わず、希望に応じて減額することができるようになります。

このほかにも、共同経営者が、従事していた個人事業の廃止を伴わずに、共同経営者の地位を退いた場合で、1年以内に新たに小規模企業の経営者となり小規模共済制度の加入資格を満たす場合には、「掛金納付月数の通算」を利用して共済契約を継続できるようになるなどの制度改正も行われています。

小規模企業退職共済は掛金が全額所得控除の対象となるとともに、共済金を一括で受け取る場合には退職所得扱いに、分割で受け取る場合には公的年金等の雑所得扱いとなり、受け取るときも退職所得控除などのメリットがある制度です。今回の改正で、掛金も柔軟に選択されるようになりましたので、今後も小規模事業主にとって大きな選択しの一つとなるのではないでしょうか。

関連リンク

平成28年4月からの小規模企業共済制度改正について(中小機構HP)

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