今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 改正安全衛生法の一部が6月1日から施行
  • 施行されるのは、①重大な労働災害を繰り返す企業に対し、大臣が指示、勧告、公表を行う制度が導入、②受動喫煙防止措置が努力義務化、③外国に立地する機関も検査・検定機関として登録が可能になる制度など

平成26年6月25日に公布された改正労働安全衛生法は、項目により施行日が異なっています。

すでに平成26年12月1日に①電動ファン付き呼吸用保護具の譲渡等制限及び型式検定の対象への追加に係る規定、②建設物又は機械等の設置等の計画の届出義務を廃止する規定が施行されました。

平成27年6月1日から、さらに次の内容が施行されます。

  1. 重大な労働災害を繰り返す企業に対し、大臣が指示、勧告、公表を行う制度が導入
  2. 受動喫煙防止措置が努力義務化
  3. 外国に立地する機関も検査・検定機関として 登録が可能に

今回は、そのうち1について内容を確認しておくことにしましょう。

この制度は、労働安全衛生法令等に違反したことを原因と した同様の「重大な労働災害」を複数の事業場で発生させた事業者に対し、厚生労働大臣が当該事業者の全ての事業場における再発防止のための安全又は衛生に 関する改善計画の作成を指示することができるものです。この計画を「特別安全衛生改善計画」といいます。

計画の作成指示に従わない場合、計画を守っていない場合などに、厚生労働大臣が必要な措置をとるべきことを勧告し、勧告に従わない場合はその旨を公表することができるようになります。

以上の流れを示したものが、次の図です。

image176以下では、少し詳しくみていきましょう。

まず、特別安全衛生改善計画作成指示の端緒となる「重大な労働災害」とは、次のいずれかに該当するものとされています。

  1. 死亡災害
  2. 負傷又は疾病により、労災保険法の障害等級 第1級から第7級までのいずれかに該当する障害が生じたもの又は生じるおそれのあるもの

また、「重大な労働災害の再発を防止するため必要がある場合」 は、次のいずれにも該当する場合とされています。

  1. 重大な労働災害を発生させた事業者が、当該重大な労働災害を発生させた日から起算して3年以内に、他の事業場において当該重大な労働災害と再発 防止策が同様である重大な労働災害を発生させた場合
  2. 1.の事業者が発生させた複数の重大な労働災害が、いずれも労働安全衛 生法等の安全又は衛生に係る関係法令の規定に違反して発生させたもので ある場合

特別安全衛生改善計画作成指示書による指示を受けたにもかかわらず計画を提出しない場合において、重大な労働災害が再発するおそれがあると認め られるときには、厚生労働大臣の「勧告」の対象となるものとされています。

また、この勧告において示された必要な措置をとることに着手しない場合は、公表の対象となり、企業の名称、本社事業場の所在地、発生させた重大な労働災害の概要、公表するに至った事由について行うものとされています。

■関連リンク

労働安全衛生法の改正について (厚労省HP)

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