今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 労働政策研究・研修機構の調査によれば、今後、仕事に関する資格・検定を積極的に活用する意向を示した企業は65.3%に上っており、その多くは「専門性に対する従業員の意欲を高めることができる」ことをその理由としてあげている。

image033労働政策研究・研修機構(JIL)が、「企業における資格・検定等の活用、大学院・大学等の受講支援に関する調査」の結果を取りまとめ、公表しました。

そこで、今回は、資格・検定に関する意向について取り上げたいと思います。

本調査で、仕事に関する社外の資格・検定を、今後より積極的に活用する意向を示した企業は、 65.3%となり、その理由として最も多かったのは、「専門性に対する従業員の意欲を高めることができる」で69.8% でした。多くの会社が従業員の専門的能力の開発を重視していることがうかがえる結果となっています。

また、資格・検定の取得者をどのように確保しているかについては、資格の性質に応じて特徴があり、調査では4つに分類されています。

まず、「会社主導型」です。たとえば、「玉掛け技能」、 「クレーン・デリック運転士」、「フォークリフト技能者」、「溶接」で。製造業、運輸業の業務を行う上で必要となる業務独占型の資格・検定です。また、同様の資格・検定に「衛生管理者」、「安全管理者」があります。

次に「取得奨励型」といえるものとして、「技術士」、「施工管理技士」、「社内資格・検定」があるとされています。「会社主導型」に比べると、必ずしも資格・検定がなければ業務に従事できないというわけではないものの、業務との関連性が強いものといえるでしょう。

3つ目として、「従業員主導の取得奨励型」として、「オ ラクルマスター」、「マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト」、「基本情報技術者」、「応用情報技術者」といった情報技術に関わる資格・検定や、「中小企業診断士」、「社会保険労務士」、「ファイナンシャ ル・プランナー」など経営・財務系の資格・検定、「語学検定」などが挙げられます。これらは、より一般的な知識、能力の向上に役立つものということができます。

最後は「採用型」です。これは、そもそも採用の条件となっているような資格で、「薬剤師」や「看護師」などの医療系の資格・検定が挙げられます。

中小企業の場合、自社で教育訓練を実施し人材育成を行うだけのリソースが不足していることも少なくないように思われます。そのような場合であっても、資格・検定の取得を奨励(具体的には受験料の補助や合格祝金の支給)するという方法は、導入が容易であり、コストもそれほどかからないので、取り組みやすい施策の一つです。

その場合、支援する資格・検定の枠を検討する必要があります。その際、上記の4つに分けるという方法は、整理されており、とても有効だと思います。

焦点は、「従業員主導の取得奨励型」を含めるかどうかになるでしょう。私としては、このような資格・検定まで含める必要はないと考えますが、個別に申出があった都度社内で検討するといった方法で、当面様子を見るというのでもよいでしょう。

■関連リンク

「企業における資格・検定等の活用、大学院・大学等の受講支援に関する調査」(JILHP)

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