image022厚生労働省は、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い等の相談件数は引き続き高い水準で推移していることや、平成 26 年 10 月 23 日に男女雇用機会均等法に関して最高裁判所の判決があったことなどを踏まえ、均等法、育児・介護休業法の解釈通達を改正しました。

内容は、上記の最高裁判所の判決に沿って、妊娠・出産、育児休業等を「契機として」なされた不利益取扱いは、原則として法が禁止する妊娠・出産、育児休業等を「理由として」行った不利益取扱いと解されるということを明確化するものです。

解釈通達の内容は、たいへんわかりづらく、しかも具体性に欠けているので、読んでいてうんざりしますが、おおまかには、妊娠・出産に近い時期に行われた解雇や降格といった不利益取り扱いは、原則として均等法に違反するものとしたうえで、例外的に違反にならないものとして、次の2つを上げています。

①円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障が あるため当該不利益取扱いを行わざるを得ない場合において、 ②その業務上の必要性の内容や程度が、法第9条第3項の趣旨に実質的に反し ないものと認められるほどに、当該不利益取扱いにより受ける影響の内容や 程度を上回ると認められる特段の事情が存在すると認められるとき

①契機とした事由又は当該取扱いにより受ける有利な影響が存在し、かつ、当該労働者が当該取扱いに同意している場合において、 ②当該事由及び当該取扱いにより受ける有利な影響の内容や程度が当該取扱いにより受ける不利な影響の内容や程度を上回り、当該取扱いについて事業 主から労働者に対して適切に説明がなされる等、一般的な労働者であれば当該取扱いについて同意するような合理的な理由が客観的に存在するとき についてはこの限りでないこと。

おおまかには、一つ目はどうしても不利益な取り扱いが業務上必要なケース、二つ目は形式的には不利益取り扱いではあるが本人にもメリットがあって本人も同意しているケース、と言えるでしょう。そうはいっても、この基準だけで社内で判断することは至難と言わざるを得ません。一般論としては、妊娠・出産時期の降格や解雇は十分慎重である必要があるでしょう。

■関連リンク

妊娠・出産、育児休業等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達を発出しました(厚生労働省HP)

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