今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 塩崎厚生労働相が経団連会長に対して、夏の期間における朝型勤務やフレックスタイム制を活用するなど、企業の実情に応じた取組を行うよう要請した
  • 朝方勤務制度を導入した伊藤忠商事では、すでに残業時間やコスト削減などの効果が上がっていることがHPで公表されている

image172先月内閣総理大臣がまずは明るい時間が長い夏の間は、朝早くから働き始め、夕方には家族などと過ごせるよう、夏の生活スタイルを変革する新たな国民運動を展開するとの指示がなされたことを受けて、塩崎厚生労働大臣らが、日本経済団体連合会会長に対し、これまでの取組をより一層強化し、民間企業において、 夏の期間における朝型勤務やフレックスタイム制を活用するなど、企業の実情に応じた取組を行うよう要請しました。

朝方勤務については、以前も伊藤忠商事株式会社の取組みが、報道されたことで注目を集めました。ホームページではその取り組み内容についても紹介されており、その内容は次のようなものです(以下同社ホームページより引用)。

  • 深夜勤務(22:00-5:00)の「禁止」、20:00-22:00勤務の「原則禁止」。但し、やむを得ず20:00以降勤務が必要な場合は事前申請の上、認める。
  • 早朝勤務時間(5:00-8:00)は、インセンティブとして、深夜勤務と同様の割増し賃金(時間管理対象者:150%/時間管理対象外:25%)を支給する。7:50以前始業の場合、5:00-8:00の割増率を8:00-9:00にも適用。
  • 健康管理の観点から8:00前始業社員に対し、軽食を支給する。

(引用ここまで)

同ホームページによれば、残業時間について総合職で4時間減、使用電力でも6%減等コスト削減につながるなど一定の効果が上がっていることがうかがえます。

このように少なからずメリットが認められる朝方勤務制度です。また、伊藤忠商事の場合、所定の始業・終業時刻については変更していないため、いわゆるサマータイムとは異なる制度である点にも注目するべきでしょう。始業時刻を前倒しした場合、遠隔地住者や、育児・介護中の従業員などが出勤が困難とならないか配慮が欠かせませんが、朝方勤務制度の時間は、所定時間外の労働であるため、利用は難しいケースはあったとしても、不利益にはならないというわけです。

残業時間削減に取り組もうとしている会社にとっては、こうした制度も検討してみるのもよいでしょう。

■関連リンク

朝型勤務の推進など「夏の生活スタイル変革」に向けた取組を要請しました ~厚生労働大臣、経済産業副大臣が日本経済団体連合会会長に要請~(厚生労働省HP)

「朝型勤務」制度の導入(伊藤忠商事HP)

MORI社会保険労務士・行政書士事務所では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろん社会保険、給与計算(年末調整)、就業規則、各種許認可業務等も対応します。ぜひお問い合わせください。

toiawase