今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 学校卒業見込者等求人(いわゆる「新卒」)について、求人不受理となる労働関係法令違反の対象の案が示された

image087青少年雇用促進法、勤労青少年福祉法等の改正による政省令省令案とそれに関連する方針、指針の案が厚生労働省内の審議会に示され、「妥当」と答申されました。

今回は、これらのうち、特に注目されている求人不受理に関する部分について取り上げましょう。

まず、学校卒業見込者等求人(いわゆる「新卒」)について、求人不受理となる労働関係法令違反の対象が次のように定められました。

  • 労働基準法及び最低賃金法のうち、賃金、労働時間、労働条件明示、年少者の労働条件等に係る条項
  • 男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法のうち、規定の違反により公表の対象とされる条項

では、このような違反した場合、求人不受理となる期間はどのようになるのでしょうか。

まず、「労働基準法及び最低賃金法に係る規定の違反」の場合、次のように定められました。

  1. 「過去1年間」に「2回以上」「同一条項の違反」について「是正指導」を受けた場合→是正が行われていないとき又は是正後6ヶ月経過していないとき
  2. 対象条項違反により「送検・公表」された場合→送検から1年経過していないとき又は是正後6ヶ月経過していないとき

また、「男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法に係る規定の違反」については、法違反の是正を求める勧告に従わず、公表された場合であって、是正が行われていないとき又は是正後6ヶ月経過していないときとされました。

このように、新卒求人に関する求人申込みの不受理については、是正指導違反や送検、公表があった場合に行われます。そして、対象となる法律は、労基法、最低賃金法のみならず、均等法、育児介護休業法違反も対象となっていることに留意すべきです。

ところで、昨日のニュースで取り上げたように、来年以降、育児介護休業法の改正についてもすでに動きがあるところです。したがって、この動向については、今後も節目節目に取り上げていきたいと思います。

次に、新規学校卒業者の適職選択とともに企業が求める人材の円滑な採用に資するよう、職場の就労実態に係る情報が、積極的に提供される環境を整備するための青少年雇用情報の内容については、次のように定められました。

  1. 募集・採用に関する状況…過去3年間の新卒採用者数・離職者数、過去3年間の新卒採用者数の男女別人数、平均勤続年数
  2. 職業能力の開発・向上に関する状況…研修の有無及び内容、自己啓発支援の有無及び内容、メンター制度の有無、キャリアコンサルティング制度の有無及び内容、社内検定等の制度の有無及び内容
  3. 企業における雇用管理に関する状況…前年度の月平均所定外労働時間、前年度の有給休暇の平均取得日数、前年度の育児休業取得対象者数・取得者数(男女別)、役員及び管理的地位にある者に占める女性割合

 厚生労働省としては、この答申を踏まえ、速やかに政令等の制定に向けて作業を進めることとしています。

関連リンク

「青少年の雇用の促進等に関する法律第十一条の労働に関する法律の規定等を定める政令案要綱」等の労働政策審議会に対する諮問及び同審議会からの答申について(厚生労働省HP)

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