今回の記事をざっくり言うと・・・

  • 今春、キャリア形成促進助成金のうち「教育訓練休暇等制度」が新設された。
  • 本助成金の対象となる教育訓練休暇等制度は、事業主以外が行う教育訓練、職業能力検定又はキャリアコンサルティングを受けるために必要な休暇、勤務時間の短縮(労働基準法39条の規定による年次有給休暇を除きます。)を与え、自発的職業能力開発を受ける機会の確保等を通じた職業能力開発及び向上を促進する制度

image221今回は、唐突ですが、キャリア形成促進助成金のうち、今年度新設された「教育訓練休暇等制度」についてみていきたいと思います。

本助成金の対象となる教育訓練休暇等制度は、事業主以外が行う教育訓練、職業能力検定又はキャリアコンサルティングを受けるために必要な休暇、勤務時間の短縮(労働基準法39条の規定による年次有給休暇を除きます。)を与え、自発的職業能力開発を受ける機会の確保等を通じた職業能力開発及び向上を促進する制度です。

ここで、教育訓練等については、教育訓練休暇を付与するに値しない性質のものは助成 金の対象となりません。具体的には、事業主が行う「OJT付き訓練」も しくは「OFF-JT」、業務命令により受講させるもの以外の訓練であるな らば対象となります。 また、従業員が自発的に教育訓練を受講する必要があります

他の訓練と同じように「20時間以上」である必要はありません。また、教育訓練休暇等制度について、制度の導入前に申し込みをした訓練も、 訓練の際に取得した休暇が制度の導入によって取得したものであるな らば対象となります。

申請の手順は、次の通りです。

Step1 教育訓練休暇等制度の作成

教育訓練休暇等制度を導入し、継続的に人材育成に取り組むことを明確にするため、教育訓練休暇等制度に係る規定を就業規則または労働協約に設ける必要があります。

なお、規定を盛り込んだ就業規則の労働基準監督署などへの届出や労働協約の締結は、労働局長による制度導入・適用計画の認定の後に行う必要がありますので、留意してください。また、導入する教育訓練休暇等制度は、労働者の職業能力の開発および主体的なキャリア形成を図るために、効果的なものである必要があります。

【就業規則の規定例①(有給教育訓練休暇制度を規定した場合)】

(教育訓練休暇制度)
第○条 会社は、労働者が自発的に教育訓練を受講する場合に教育訓練休暇を付与する。
2  教育訓練休暇は有給とし、1年間につき10日間を付与する。
3  教育訓練休暇は、労働者から、自発的に自社の仕事に必要な職業能力の習得のための教育訓練を受講する旨の申出があった場合に、付与する。

次の教育訓練休暇等制度の要件に留意の上、教育訓練休暇等の実施計画を作成し、その内容を教育訓練休暇等実施計画に記載してます。なお、制度導入様式に記載する全ての項目を他の書類により記載できる場合は、その書類を教育訓練休暇等実施計画書とすることができます。

  • 教育訓練休暇等は、雇用する被保険者に適用する必要があります。
  • 労働者が業務命令でなく、自発的に教育訓練を受講する必要があります。
  • 休暇制度については、次のいずれかに該当する必要があります。
    • 有給教育訓練休暇制度については、5年に5日以上(有給教育訓練短時間勤務制度の場合は40時間以上)の休暇を付与する制度であって、かつ、1年間に5日以上(有給教育訓練短時間勤務制度の場合は40時間以上)の取得が可能な制度を規定していること。
    • 無給の教育訓練休暇等制度については、5年に10日以上(無給の教育訓練短時間勤務制度の場合は80時間以上)の休暇を付与する制度であって、かつ、1年間に10日以上(無給教育訓練短時間勤務制度の場合は80時間以上)の取得が可能な制度を規定していること。

Step2 制度導入・適用計画届の提出

Step1で作成した制度導入・適用計画に基づき、制度導入・適用計画届を作成するとともに、必要な書類を主たる事業所を管轄する労働局(またはハローワーク)に提出します。

労働局長が、制度導入・適用届の内容を確認し、認定します。

制度導入・適用計画期間の初日の前日から起算して6か月前から1か月前までに、提出してください。

Step3 制度の導入

まず、労働局長が認定した制度導入・適用計画に従い、導入する制度を就業規則または労働協約に規定します。常時10人以上の労働者を使用する事業主が就業規則に制度を規定する場合は、制度を規定した就業規則を、労働基準監督署などへ届け出てください。

なお、常時10人未満の労働者を使用する事業主が就業規則に制度を規定する場合は、制度を規定した就業規則を、労働基準監督署などへ届け出るか、制度を規定した就業規則に、就業規則の実施について事業主と従業員全員が連署により合意した申立書を添付してください。

次に、制度の導入後、速やかに次の書類を労働者に周知してください。

  • 就業規則または労働協約
  • 事業内職業能力開発計画
  • 教育訓練休暇等制度を導入する場合

Step4 制度の適用

教育訓練休暇等実施計画書に基づく教育訓練休暇等の取得させてください。

Step5 支給申請書の提出

支給申請期間は、最低適用人数を満たす者の制度の適用日の翌日から起算して6か月間経過した日から2か月以内です。適用日とは、最低適用人数の一番最後の者がはじめて教育訓練休暇等を取得した日となります。

なお、訓練実施関係の確認書類(請求書等)の宛名が会社名でも認められます。従業員が訓練のために休みを取ったということが証明で きる書類(出勤簿等)を提出します。

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