先日に引き続き、今回はストレスチェック制度に関する検討会の報告書について取り上げましょう。

前回は、報告書のうち前半部分にあたる「ストレスチェックの実施方法及び情報管理等について 」の部分を見てきました。今回は後半をとりあげることにしましょう。

2 面接指導について

  •  面接指導は、労働者から申出があった後遅滞なく行うことが適当であり、当該事業場の産業医等が実施することが望ましい。

なお、面接指導の申出を行った労働者が、面接指導の対象に該当するかどうかを事業者が確認するためには、当該労働者が高ストレスと評価された者か否かを把握する必要があるため、申出がなされた際には、以下のいずれかの方法で対象に該当するかどうかを事業者が把握することが適当とされています。

  1. 当該労働者から個人のストレスチェック結果の提出を求める方法。
  2. ストレスチェックの実施者に当該労働者の該当の有無を確認する方法。

3.派遣労働者の取扱いについて

  • 派遣労働者個人に対するストレスチェックの実施、本人通知、面接指導については、法令上、派遣元が実施義務を負う。一方、集団的な分析については、派遣先の努力義務とする。

派遣労働者については、法令上、派遣元事業者に就業上の措置の義務が課されています。

しかし、労働者派遣契約では、あらかじめ業務内容、就業場所等が特定されており、派遣元が一方的にそれらを変更するような措置を講じることは困難であること等に留意して、就業上の措置の実施に当たっては、必要に応じて派遣先と連携しつつ、適切に対応することが適当とされています。

4 労働者に対する不利益取扱いの防止について

面接指導の申出に対する不利益取扱いは法律で禁止されており、報告書では、以下の行為は禁止されるべきとされています。

  1. ストレスチェックを受けないことを理由とした不利益取扱い。
  2. ストレスチェック結果の提供に同意しないことを理由とした不利益取扱い。
  3. 高ストレスと評価された労働者が面接指導の申出を行わないことを理由とした不利益取扱い。
  4. 面接指導の結果を理由とした解雇、雇用契約の不更新等の行為。
  5. 医師の意見と著しく内容・程度の異なる措置(労働者の不利益となるもの)を講じること。

5 その他

(1)外部機関への委託

image149事業者はストレスチェックを外部機関に委託する場合は、予めその機関の実施体制や情報管理の適切さなどを十分に確認することが望ましい(確認事項を国が示す)とされています。

(2)実施状況の行政への報告

ストレスチェックや面接指導の実施状況を労働基準監督署に報告させることとされました。

以上、2回にわたって、報告書の内容について見てきました。本制度の大まかな流れは左図のような形になる見込みです(大きいものは関連リンクに掲載された資料の21ページをご覧ください)。

今後政省令、指針、通達等により細かい部分が決定されることになります。これらについても、新たな動きがあればご紹介したいと思います。

■関連リンク

改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書をとりまとめました(厚生労働省HP)

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