厚生労働省が、高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した、令和2年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)を公表しました。

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、高年齢者が年齢に関わりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現を目的に、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう義務付け、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めています。

そこで、以下では、今回の報告内容の概要を見ていくことにしましょう。

はじめに、65歳までの高年齢者雇用確保措置のある企業の状況です。65歳までの雇用確保措置のある企業は計164,033社で99.9%となりました。65歳までの雇用確保措置については、調査対象となった従業員31人以上のほとんどすべての企業で導入されたことになります。

一方、65歳定年企業は30,250社[2,537社増加]で、18.4%[1.2ポイント増加]と、引き続き多くの企業においては「継続雇用制度」による雇用の継続を図っていることがわかります。なお、中小企業では19.2%、大企業では11.9%と、中小企業の方が65歳定年が実現していることがわかります。これは、人手不足により、高年齢者の労働力にたよる必要性が高いためと思われます。

つづいて66歳以上働ける企業の状況です。66歳以上働ける制度のある企業は54,802社[5,164社増加]、割合は33.4%[2.6ポイント増]でした。ここでも、中小企業では34.0%、大企業では28.2%と、中小企業の方が中高年齢者の雇用が進んでいることがわかります。さらに70歳以上働ける制度のある企業でも、中小企業では32.1%なのに対して、大企業では26.1%となっています。

最後に定年制の廃止企業は4,468社[171社増加]で、割合は2.7%[変動なし]となっています。

以上でみたように、高年齢者雇用は大企業よりも中小企業で拡大していることがわかりました。しかし、中小企業のなかには安全衛生面が必ずしも充実しているとはいえない場合もあることから、安全衛生管理の重要性が今後さらに増していくとみられます。

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参考リンク

令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果を公表します(厚生労働省HP)