国税庁が「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公開しました。近年進展するテレワーク(在宅勤務を含む。)について、従来とは異なる経済的支援を行う企業が増加する中で、課税関係の重要な資料となるものですので、今回は、FAQのうち重要なものを取り上げます。

〔問1〕 企業が従業員に在宅勤務手当を支給した場合は、従業員の給与として課税する必要はありますか

〔答〕
在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はありません(【問3】参照)。

 なお、企業が従業員に在宅勤務手当(従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月 5,000 円を渡切りで支給するもの))を支給した場合は、従業員に対する給与として課税する必要があります。

在宅勤務の経済的支援に関する基本的な考え方を示すものといえるでしょう。これにより、いくつかの企業で支給されている渡切りの「在宅勤務手当」は、「精算」という手間がない反面、給与として課税扱いになるということになります。

これに対して、「在宅勤務手当としてではなく、企業が在宅勤務に通常必要な費用を精算する方法により従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要は」ありません(問3の答)。

なお、「企業が従業員に支給した在宅勤務手当のうち、購入費用や業務に使用した部分の金額を超過した部分を従業員が企業に返還しなかったとしても、その購入費用や業務に使用した部分の金額については従業員に対する給与として課税する必要はありませんが、その超過部分は従業員に対する給与として課税する必要があ」るとされています(前同)。

ところで、通信費や電気料金については、業務に使用した部分とそうでない部分は区別することは、実際には極めて煩雑であることが想定されます。そこで、Q&Aでは、通話明細書等により業務のための通話に係る料金を確認し、その金額を企業が従業員に支給する場合のほかに、次の「合理的な計算方法」で算出したものを、業務のための通話に係る料金として差し支えないとしています。

業務のために使用した基本使用料や通信料等=従業員が負担した1か月の基本使用料や通信料等/該当月の日数×1/2

計算例もQ&Aに掲載されています。ここではレイアウトがうまくできないので省略しますが、ぜひご確認ください。

なお、以上の内容は、FAQを紹介したにとどまるものです。税務に関する個別のご質問は税理士法により社労士は回答することができませんので、税務署か税理士様にご相談ください。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)(国税庁HP)