世界のハローワークからVOL023:ハローワーク三島

今回は、先日公開されたキャリアアップ助成金に関するQ&Aのなかで、正社員化コースの変更点に関する部分についてみていくことにしましょう。

今回の改正の中で、大きな影響があるものの一つが正社員の定義が変更されたことです。すなわち、就業規則等に基づき、賞与または退職金の制度 があり、かつ昇給制度が適用されることが追加されました。この点について、①ー1のA-2で、次の通りとされました。

「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が正社員に適用されることが明示的に分かるように就業規則等へ規定している必要があります。 また、できる限り具体的に(※)規定していただくことが望ましいです。
※ 賞与や昇給であれば、その支給又は実施時期等を明示することが望ましい。退職金であれば、労働基準法上、適用される労働者の範囲、退職金の支給要件、額の計算及び支払の方法、支払の時期などを記載しなければならないとされている。

なお、正社員転換後6か月の間に、賞与や昇給の実績がなくても、正社員に適用される就業規則等に「賞与または退職金制度」かつ「昇給」の規定を確認することができれば、支給対象となるとされています(Q-3)。

ところで、近年の就業規則では「昇給」ではなく、降給もありうる「給与改定」として定めているケースも少なくありません。このような規定の場合には、以下の点に注意が必要です。

Q-6 昇給について。賃金改定の規定(年1回賃金を見直す等)や降給の可能性のある規定は、「昇給のある就業規則」が適用されている正社員として見做すことはできますか。
A-6 就業規則等に客観的な昇給基準等の規定がある場合には、当該規定の運用により、賃金据え置きや降給の可能性があったとしても、支給対象となり得ます。
※客観的な昇給基準等なく、賃金据え置きや降給の規定がある場合(支給不可のケース)
(例)会社が必要と判断した場合には、会社は、賃金の昇降給その他の改定を行う。
※ 客観的な昇給基準に基づき、賃金据え置きの規定をおいている場合(支給可のケース)
(例)昇給は勤務成績その他が良好な労働者について、毎年〇月〇日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は行わないことがある。
(例)毎年1回、各等級の役割遂行度を評価し、基本給の増額又は減額改定を行う。

さて、今回の改正では、正社員だけでなく、転換前の非正規雇用についても定義が変更されました。すなわち「賃金の額または計算方法が正社員と異なる就業規則」が適用されていることとされました。具体的には、基本給、賞与、退職金、各種手当等については、いずれか一つ以上で正規雇用労働者と異なる制度を明示的に定めていれば(基本給の多寡や賞与の有無等)支給対象となり得ます。

なお、有期雇用労働者を正社員に転換する場合は、就業規則等上に「契約期間の定め」が必要です。「契約期間の定め」の例としては、「契約社員の雇用契約期間は1年とする」などが例示されているので、参照してください。

また、正社員と非正規社員の別が就業規則で明らかになっていない場合は、支給対象外となります。たとえば、「適用範囲」等の条文において、「「契約社員及びパート労働者の就業に関する事項については別に定める」と、非正規を別規定にしている場合や、正規・非正規で就業規則が一体となっていたとしても「雇用形態」等の条文において、「正社員」「契約社員」「パート」が区別して規定されている場合は、「正規」「非正規」で区別されているものと見做」すとされました。

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参考リンク

キャリアアップ助成金(厚生労働省HP)