世界の労働基準監督署からVOL012:新庄労働基準監督署

厚生労働省が5月12日づけで、新型コロナウイルス感染症による罹患後症状の労災補償における取扱い等に関する通知を発出しました。

新型コロナウイルス感染症の労災補償の取扱いについては、これまでも罹患後症状についても労災保険給付の対象とされていましたが、今般、「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 別冊罹患後症状のマネジメント(第1版)」が取りまとめられたことを踏まえ、本感染症に係る罹患後症状の労災補償における取扱いを明確にすることとされました。

本通達では、まず基本的な考え方として、「本感染症については、感染性が消失した後であっても、呼吸器や循環器、神経、精神等に係る症状がみられる場合がある」としたうえで、「業務により新型コロナウイルスに感染した後の症状であり療養等が必要と認められる場合は、労災保険給付の対象となるものであること」を示しました。

そして、具体的な取扱いとして、療養補償給付については、医師により療養が必要と認められる以下の場合は、療養補償給付の対象となるとしました。

  • 診療の手引きに記載されている症状に対する療養(感染後ある程度期間を経過してから出現した症状も含む)
  • 上記の症状以外で本感染症により新たに発症した傷病(精神障害も含む)に対する療養
  • 本感染症の合併症と認められる傷病に対する療養

次に、休業補償給付については、罹患後症状により、休業の必要性が医師により認められる場合は、休業補償給付の対象となるとされました。なお、症状の程度は変動し、数か月以上続く症状や症状消失後に再度出現することもあり、職場復帰の時期や就労時間等の調整が必要となる場合もあることに留意することとされました。

第3に、障害補償給付については、罹患後症状は、時間の経過とともに一般的には改善が見込まれることから、リハビリテーションを含め、対症療法や経過観察での療養が必要な場合には、上記のとおり療養補償給付等の対象となりますが、十分な治療を行ってもなお症状の改善の見込みがなく、症状固定と判断され後遺障害が残存する場合は、療養補償給付等は終了し、障害補償給付の対象となるとされました。

なお、罹患後症状については、「いわゆる”後遺症”」として「後遺症」との用語を用いられる場合も少なくないが、通常は障害補償給付における後遺障害の状態ではなく、療養が必要な状態を意味する場合が多いことから、説明等を行う際に誤解を生じさせることのないよう留意することとされました。

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参考リンク

新型コロナウイルス感染症による罹患後症状の労災補償における取扱い等について(厚生労働省HP、PDF)