労働安全衛生法の改正法が、6月25日に公布されました。
今回の改正では、化学物質による健康被害が問題となった胆管がん事案など最近の労働災害の状況を踏まえ、労働者の安全と健康を確保するため、労働安全衛生対策の一層の充実を図ることを目的とするものとされています。
【改正法のポイント】
1.化学物質管理のあり方の見直し
特別規則の対象にされていない化学物質のうち、一定のリスクがあるものなどについて、事業者にリスクアセスメントを義務付ける。
2.ストレスチェック制度の創設
今回の改正の中で、最も注目を集めているものが、この「ストレスチェック制度」の創設です。その概要は、次のとおりです。
- 医師、保健師などによるストレスチェックの実施を事業者に義務付ける。(ただし、従業員 50 人未満の事業場については当分の間努力義務とする。)
- 事業者は、ストレスチェックの結果を通知された労働者の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、適切な就業上の措置を講じなければならない
3.受動喫煙防止対策の推進
労働者の受動喫煙防止のため、事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずることを努力義務とする。
4.重大な労働災害を繰り返す企業への対応
この改正は、「企業単位」での安全衛生への取組みを求めるものです。具体的には、 厚生労働大臣が企業単位での改善計画を作成させ、改善を図らせる仕組みが創設されました。(計画作成指示などに従わない企業に対しては大臣が勧告する。それにも従わない企業については、名称を公表する。)
5.外国に立地する検査機関などへの対応
ボイラーなど特に危険性が高い機械を製造などする際の検査などを行う機関のうち、外国に立地するものについても登録を受けられることとする。
6.規制・届出の見直しなど
- 建設物または機械などの新設などを行う場合の事前の計画の届出を廃止する。
- 電動ファン付き呼吸用保護具を型式検定・譲渡制限の対象に追加する。
改正法の施行日は、公布の日から起算して、それぞれ6は6月、3・4・5は1年、2は1年6月、1は2年を超えない範囲において政令で定める日とされています。つまり、「2.ストレスチェック制度の創設」の内容は、遅くとも来年の12月中には施行されることになります。
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